現在の物理学では、ビッグバン以前に「時間が存在した」とも「存在しなかった」とも断定できません。
理由は、私たちが使う一般相対論を過去へさかのぼると、宇宙の密度が無限大になるような点(特異点)が出てきて、そこで理論そのものが成り立たなくなるからです。つまり「それより前を語れる物差し」が現状の理論にはありません。ビッグバンは「何かが爆発した瞬間」というより、「観測できる範囲で宇宙が高温高密度だった最初期までさかのぼれる」という意味合いが強いです。
ブラックホールについてよく言われる「時間と空間が入れ替わる」は、事象の地平面の内側では外へ向かうことが時間の進み方と同じくらい避けられない、という性質をたとえている表現です。時間が逆流するという意味ではありません。
ビッグバンの極限でも「時間が逆になる」と分かっているわけではなく、むしろ通常の時空の概念が通用しなくなる可能性が高い、というのが正確です。量子重力などの新しい理論が必要だと考えられていますが、決着はまだついていません。