漢字は新字体、仮名は普通のひらがなに改め、ルビはカッコ内に示します。
此冊中(このさつちう)に出(いだ)す図(づ)は凡(およそ)異人館内(いじんくゎんない)朝夕(てうせき)の事(こと)にして食事(しょくじ)の製(せい)又は菓子(くゎし)其品(そのしな)の写(うつ)しを
以(もっ)てす或(あるひ)は横浜(よこはま)に持渡(もちわた)る銅板(どうばん)又(また)石板(いしばん)油絵(あぶらゑ)に写来(うつしきた)るを以(もっ)て是(これ)を出(いだ)し万国(ばんこく)の風俗(ふうぞく)
も自(おのづか)ら是(ここ)に出(いづ)るなり第*初図(だいはじめのづ)に出(いだ)す所(ところ)の連発行歩之体(れんはつぎゃうほのてい)は玉版(ぎょくばん)に見(み)る処(ところ)にして
横浜異人(よこはまいじん)大勢(たいせい)集(あつま)りての事(こと)にあらずなれ共(ども)十人二十人集(あつま)りてドンタク(休日)此日(このひ)鉄炮(てつほう)を持出(もちいで)其(その)
少(すこし)きまなびは二三度(たび)見(み)ること有(あり)て此絵(このゑ)に合(あは)せ見(み)る時(とき)は異(ことな)るはなく大勢小勢(おおぜいこぜい)のことなれば
其絵図(そのえづ)の方(かた)を以(もっ)て此(この)初(はじめ)に出(いだ)すなり最(もっと)も足(あし)の揃方(そろへかた)其外(そのほか)能(よく)調練(てうれん)の有様(ありさま)次(つい)で
女性(にょせう)衣紋(えもん)の写(うつし)其(その)製(せい)し方(かた)又異人館(いじんくゎん)にまじはり牛屋(うしや)あり是(これ)は渡来(とらい)の国人(こくじん)第*一(だいいち)
の常食(じゃうしょく)にて其屋(そのいへ)の内(うち)にて牛(うし)をひさぐの図(づ)写真(しゃしん)を出(いだ)す銅板絵(どうばんゑ)に見(み)る処(ところ)の
西洋諸州(せいようしょこく)にて牛(うし)羊(ひつじ)の干肉(かんにく)の市(いち)有(ある)を見(み)る是亦(これまた)食事(しょくじ)の物(もの)に付(つけ)て図(づ)を写(うつし)て此内(このうち)
に出(いだ)す其外(そのほか)数多(あまた)あることを図(づ)に写(うつ)すといへども次編(じへん)に譲(ゆづ)りて微細(びさい)に出(いだ)すなり
玉蘭斎主誌
*「弟」と書いてありますが「第」の意味なので「第」と翻字しておきます。
「てつほう」とありますが読みは「てっぽう」かもしれません。