社会福祉士や精神保健福祉士などの資格の教本では、しばしば、パターナリズムのことを「父権主義」など呼称しています。しかし、“パターナリズム”のことを「父権主義」などと説明するのは、不適当ではないですか?確かに、語源的には、パターナリズムの原語である「paternalism」という単語の「pater」は、ラテン語で父親を意味する「pater」に由来します。しかしながら、現在では、“パターナリズム”という言葉は、単に、「強者が弱者に対し、相手の利益のために、相手の意志にかかわらず干渉・介入すること。 」を意味する言葉でしかなく、“父権”というニュアンスは含まれていません。実際、現代社会では、一般的に、“父”が“母”よりも、干渉・介入的であることを示す根拠は存在しません。したがって、ジェンダーバイアスを避けるという観点からも、“パターナリズム”のことを「父権主義」などと解説するのは、適切とはいえないのではないでしょうか。読者に対して不必要な性差バイアスを想起させる表現を行なうことは、ソーシャルワーカー養成のための教本としては適切とは思えません。また、実際の福祉の実務現場においても、「父権主義」という言葉が使われることは まず無く、社会福祉士国家試験や精神保健福祉士国家試験にも、「父権主義」という文言が出題されるとは思えませんので、現実上の必要性からも、このような表記は不要だと思います。以上が私の意見なのですが、ご見解のほど宜しくお願い致します。