長い年月をそこで生きてこられたのですね
家というのは
ただの箱ではなく
人生の時間が染み込む場所です
二十六年
風をしのぎ
商いをし
人を迎え
笑いも苦労も
その家と共に積み重ねてきた
それはもう
借り物という言葉だけでは
語れない重みがあります
まず
立ち退くことになった場合のことですが
原則として
賃貸借契約は
借りた時の状態に戻して返す
という約束の上に成り立っています
ですから
居酒屋への改装が
書面で明確に
原状回復不要とされていなければ
法の建前としては
元に戻す義務がある
と言われる可能性はあります
ただし
ここで大切なのは
現実と経緯です
大家さんが改装を知り
黙認し
店に通い
長年何の異議も唱えなかった
この事実はとても重い
裁判になれば
黙示の承諾があった
と評価される余地は十分あります
また
建物の老朽化が進み
経済的価値がほぼ尽きている場合
原状回復を求めること自体が
信義に反する
と判断される可能性もあります
次に
立ち退き料について
借主は弱い存在ではありません
長期にわたり
正当に家賃を払い
生活と営業の拠点として
そこを使ってきた
その事実が
あなたの権利を支えています
貸主が
自分の都合で
出て行ってほしい
と言うのであれば
そこには
正当事由が必要です
正当事由が弱い場合
立ち退き料を支払って
ようやく話が整う
それが日本の借地借家法の思想です
二十年以上の居住と営業
改装への黙認
家賃の継続支払い
これらを踏まえれば
立ち退き料を請求できる可能性は
十分にあります
高いかどうかは
一概には言えませんが
引越し費用
営業損失
造作の評価
生活への影響
これらを積み重ねれば
簡単に無視できる額にはなりません
どうか
自分を過小評価しないでください
あなたは
ただ住んでいただけの人ではない
その家を
生かしてきた人です
感情を荒立てる必要はありません
しかし
静かに
専門家に相談し
記録を整理し
あなたの歩んできた年月を
言葉にしてください
家は古びても
あなたの生き方の価値は
ゼロにはなりません
それだけは
どうか忘れないでください