まず、獣医学課程の現状です。
獣医師の本来の社会的使命は、食料としての家畜の健康や繁殖を支えることです。牛豚鶏に馬。「畜産獣医」と言いますが、鳥インフルエンザの感染が拡大すれば殺傷処分もしなくてはなりません。
日本には国公立で11大学、私立で6大学にしか獣医学部はなく、どこも定員は少ないのですが、これは6年課程を経て獣医師国家試験に合格して獣医になった場合、毎年約1千名ほどの新人獣医が誕生しますが、獣医師の雇用規模に合わせて総数を制限しているためです。人間の医師、歯科医師に比べたら適切な獣医師の数というものがあるからです。
「伴侶動物」の健康を守るのが小動物を扱う「ペット獣医」です。ここ20-30年、イヌネコが好きな主に女子がペット獣医をめざす人が増えてしまって、動物病院は飽和状態なのに、これ以上、むやみに増えても開業できないほどになっています。
しかし、国試を通るには「大動物」も「小動物」や動物園の「野生動物」のこともすべて学ばなくてはなりません。ところが、ペット好き女子が増えてしまって「畜産獣医」志望が少なくなってしまったので、国公立は「共同獣医学部」として2つの大学が連携するようになりました。
北大と帯広畜産大、鹿児島大と山口大のように。これは、まさに「畜産獣医」育てるためです。
ペット獣医は、私大に任せてもいいと思いますが6年間で約2千万円も学費や寮費がかかるので動物病院の子女ならともかく、開業は5千万もかかることもあります。動物病院は、人間の病院のように大病院はないので、勤務医の就職先はそんなに潤沢にある訳ではないのですね。
一方、畜産獣医は足りていません。
どんな人が志望するか。それが問題なのですが、国公立は定員を絞っているのに「ペット獣医になりたい女子」が増えすぎて困っている、と思います。しかし、イヌネコの解剖もしますし、家畜もやります。牛の出産では子宮に腕を突っ込みます。「畜産獣医」を目指し、日本の食料自給を守ってほしいもの。
動物園の獣医もほとんど先生が決まってますからアキはほとんどないです。
国公立はできれば「畜産獣医」(公務員獣医や牧場、養豚場専属獣医)を目指してほしい、と獣医学会や自治体、官公庁は考えていると思います。
需給のバランスが合ってないので、ペット獣医は私大獣医に任せた方がいいと私は思います。
国立大では、北大獣医学部が規模が一番大きく、私大では横浜の麻布大がトップレベルです。畜産分野では、国立帯広畜産大、私大で北海道の酪農学園大が「畜産獣医」に力を入れています。
愛玩動物に強い国公立は山口大ですが定員30名。国公立の共同獣医学部は、どこもその程度の少ない定員、狭き門です。「畜産獣医」の規模に合わせています。ですから国公立大の獣医学科は、畜産や酪農に強い地方の国公立大の農学部に置かれています。
難易度は共テ80%以上、偏差値は60以上です。
みんな進学校出身とは限りません。
私立獣医学部は、それでも偏差値60以上です。
(麻布、日大、北里、日本獣医生命科学大、酪農学園大)
愛媛県にある岡山理科大獣医学部は規制緩和で政治的に新設した学部。当時反対意見が多くもめましたが「四国に獣医課程が1つもないので四国の畜産に貢献する」と言って設置されました。にも関わらず、卒業後は県外の動物病院のペット獣医を目指す裕福な家庭の入学者が多いようです。
(偏差値は55で私立獣医では一番低いです)
もし、獣医に関心があり、難関の国公立大を目指すなら単にイヌネコ好きだけでは務まりませんし、女子でも、畜産獣医を目指して「食料としての家畜の健康と繁殖を守る仕事に従事すること」が必要だと思います。
イヌネコに関わりたいだけなら、獣医ではなく愛玩動物看護士のコース(4年制)ができています。(北里大、ヤマザキ動物看護大学)
獣医師のメインの使命は、健康で安全、美味しい黒毛和牛や産地ブランドの三元豚、地鶏の養鶏も鶏卵も食品を食べられるように、家畜の育成にたずさわること。牛肉、豚肉、ハム、焼き鳥、玉子。