オラクルが約7兆円規模の設備投資計画を掲げている背景には、主としてクラウド需要の急拡大と、自社の競争力を中長期的に維持・拡大するための構造的な理由があります。
現在、生成AIや大規模言語モデルの普及に伴い、クラウド基盤には従来とは比較にならない演算性能とネットワーク性能が求められています。
オラクルは、こうした需要の高まりに応えるため、自社のクラウドインフラを同業他社に並ぶ規模へ急速に引き上げる必要があると判断しています。
オラクルは、近年の成長ドライバーをクラウド事業に明確に寄せています。
特に、オラクル独自のOCI(Oracle Cloud Infrastructure)は、高速ネットワークと安定的な性能を訴求ポイントとしており、大規模AIモデルの訓練や推論処理の受け皿として一定の評価を得つつあります。
しかし、AI関連の案件は契約規模が大きい一方で、基盤の容量が追いつかないと受注できません。
そのため、データセンターの新設、GPUを中心としたハードウェア調達、多地域へのリージョン展開等への先行投資が不可欠になっています。
また、AIインフラ市場では、NVIDIA GPUクラスタを軸にした計算資源を大量に確保できる企業が優位に立つ構造が強まっています。
オラクルは、NVIDIAとの長期供給契約を締結し、広域にまたがるスーパーコンピューティング規模のクラスタを構築する計画を進めています。
こうした拡張は巨額の資金を必要とするため、大規模投資を一気に進める形になっています。
さらに、オラクルはマイクロソフトやAWSに比べ、クラウド市場での規模に遅れを取っているという認識を持っています。
規模の不利を克服するには、顧客が利用できる計算能力の絶対量を短期間で増やし、AI関連ワークロードでの存在感を強化する必要があります。
これは単なる設備拡張ではなく、競争上の生存戦略に近い位置付けです。
総じて、オラクルの巨額投資は、AI時代のインフラ競争で後れを取らないための戦略的な必然性が大きく、クラウド基盤の容量拡大、AI向けGPUクラスタの構築、世界各地のデータセンター整備を同時並行で進めるために、結果として数兆円規模に達していると考えられます。