カニの甲羅に付着する「黒い物体」は、その多くがカニビルの卵ですが、それ以外にも考えられる原因がいくつかあります。
1. 黒変(こくへん)現象
生の状態のカニが空気に触れることで起こる化学反応です。
正体: カニの体液に含まれるアミノ酸(チロシン)が、酵素(チロシナーゼ)の働きによって酸化し、メラニン色素が生成されたものです。
特徴: 甲羅の一部や関節、身が黒ずみます。
安全性: 腐敗ではないため、食べても人体に影響はありません。
2. エボシガイなどの他の付着生物
カニビルほど一般的ではありませんが、カニの甲羅を「住処」として利用する他の生物が付着することがあります。
正体: エボシガイ(フジツボの仲間)や多毛類(ゴカイの仲間)の棲管(せいかん)など。
特徴: 小さな貝のようなものや、白〜灰色の石灰質の管が付着していることがあります。
安全性: これらも甲羅の外側に付いているだけで、カニの身に害を与えることはありません。
3. 外子(そとこ:メスの卵)
付着している場所が「甲羅の上」ではなく「お腹(ふんどし)」の部分であれば、それはカニ自身の卵です。
正体: 成熟したカニの卵。
特徴: メスの腹部にびっしりと詰まっており、茹でる前は黒〜茶褐色、茹でると赤〜橙色に変わることがあります。
補足:カニビルの卵がついている理由
カニビルは海底の砂泥地に生息していますが、卵を産み付ける硬い場所を求めてカニの甲羅を利用します。これが多いほど、脱皮してから時間が経過しており「身がしっかり詰まっている」という、美味しいカニを見分ける指標として知られています。