これまで反対派から聞いたのは以下のような話です。
①憲法で禁じられている
②偽装結婚で不法移民が増えたり、配偶者控除の資格を不正に取得といった犯罪が増える。
③少子化が更にひどくなる
④同性婚を認めるとアウティングをしたと責められる可能性が高まる。
そもそも、他人がどういう結婚をしようが、当事者以外には関係ない話であり、そこに口出ししようというなら、それ相応の客観的な理由が必要なはずです。
にもかかわらず、同性婚に反対している人からは、上記のような項目は聞かされますが、それがどのようなロジックで、客観的事実とどのように整合しているか、ちゃんと説明されたためしはなく、彼ら彼女らからは、脳内で創作された架空の設定しか提示されません。
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①憲法で禁じられている
(反論)一連の同性婚訴訟において、同性婚を憲法が禁じていないという点は、これまでの地裁判決でも共通して下されていましたし、昨年3月の札幌高裁判決ではさらに一歩踏み込んで、憲法24条1項は「同性婚も保障すると理解できる」という判断がなされています。
また、今回の東京高裁は不思議な判示をしましたが、現状で同性婚が認められていない状況が違憲だという司法の判断が主流です。
同性婚訴訟は最高裁で審理中ですが、これは法の下の平等に関係する問題であり、法の下の平等は法治国家では極めて重要な概念ですから、最高裁も違憲と判断する可能性が高いと思います。
そうなれば立法府は民法と戸籍法の法改正を迫られますし、それを放置すれば、今度は損害賠償が認められるようになります。
②偽装結婚で不法移民が増えたり、配偶者控除の資格を不正に取得といった犯罪が増える。
(反論)それらは異性婚でも同じように発生する問題であり、あえてそれを同姓婚とリンクさせようとする行為は、同性愛者への差別です。
そもそも偽装結婚で永住権を取ろうとか考えているのに、その際にわざわざ同性を相手に選ぶという目立つことをする理由がない。違法行為をする場合に何よりも優先されるのは「知られないこと」なのですから。
同性婚が認められれば対象者が2倍になるとか言う人がいますけど、犯罪組織が偽装結婚をさせようとする外国人には男性も女性いるんですから、外国人男性に日本人男性をあてがったら、もともと外国人女性にあてがうはずだった日本人男性のストックが一人減るのですから、意味がありません。
また、配偶者控除を受けられるということは、一方が無収入もしくは年収の壁以下の収入しかないということであり、その人が誰かの配偶者でなければ生活保護の支給対象ということですから、同性婚してくれた方が、国民にとってはありがたい話なんですけどね。
③少子化が更にひどくなる
(反論)まず同性婚を望む人が、同性婚ができないなら異性と結婚して子供をもうける、ということが起きるという発想が浮世離れしています。
むしろ経済活動としての単位である「家族」の厚みが増すので、そしてマイノリティーに寛容な国という印象が広まることで海外の優秀な人材が日本に定着しやすくなるので、日本経済が活性化されることが期待されます。その結果として若者の収入が増えれば、そして親が育てられない子供を社会で育てる場合の受け皿が増えれば、それだけ結婚や出産もやりやすくなる。
すなわち、同性婚を認めることは逆に少子化対策になるとも考えられます。
④同性婚を認めるとアウティングをしたと責められる可能性が高まる。
(反論)同性婚をする人は公的機関に自分が同性愛者であることを届け出る、すなわちそれを知られても構わないと考えている人々なんですから、同性婚を認めたからアウティングに関して何か影響があるなんて、ありえない話です。
私が認識している反対意見はこんなところ。
つまり、反対している人々が言っていることは、全て主観に依拠するものであって、客観的根拠やロジックはどこにもないのです。
なお、法律の読み替えの手間がかかるというのは、法改正とはそういうものであり、そういうのは「トラブル」とは呼びません。
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結局、同性愛者なんて見るのも嫌だ、LGBTなんて日陰の存在としてひっそりと生きていろ、と言いたい人がある程度いて、その人たちが、自分たちこそ政権与党である自民党の屋台骨だと自負している、そしてその自称保守連中の顔色を、岩盤支持層を手放したくない自民党執行部がうかがっているから、なかなか同性婚が認められなかった、というのがこれまでの日本です。
でも自民党の本音は、同性婚を認めることにいつまでも反対はできない、であり、その岩盤支持層に自分たちの責任ではないと印象付けたいがために、今は最高裁の判断が下るのを待っている、という状況だと思います。
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なぜなら、もともとLGBTや同性婚関連の法制度の整備を望んでいるのは、LGBTや同性婚への理解が進んでいる他国の人々と交わる機会が多い、どちらかと言えば「保守」に属する、本来なら自民党のスポンサーと言って良い、大企業の経営者などですから。
現実問題として世界が同性婚やLGBTの存在を認める潮流となっている中で、日本だけがそれに背を向けているわけにもいかない。このまま日本人がLGBTの問題に無自覚・無頓着なままだと、いつか世界のどこかで「やらかし」てくれて、とんでもない被害を発生させる可能性があると、大きな企業や官公庁は警戒しているのです。
だからそういった組織では性的マイノリティーを差別してはいけないという教育が頻繁に行われており、それもあってか、同性婚に賛成する人は世論調査では7割に達しています。
不思議なことに、LGBT法案や同性婚に反対している人々って、なぜか自分たちが多数派であって、LGBT差別禁止とか同性婚を認めろなんて少数派のワガママ、自民党政権を引き摺り下ろしたい政治勢力と結託した既存の秩序を破壊する行為、みたいに思い込んでいるように見えます。
上記でもわかるように、それ完全に勘違いなんですけど。
同性婚やLGBTへの差別禁止に反対している自称保守の面々こそ、『ノイジーマイノリティー』なのです。
だから自民党は最高裁判決を待っていたのでしょう。
自分たちの所為ではない、とアピールするために。
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同性婚が認められれば、まず同性婚を望む人たちの人権を異性婚をしている人々と同程度に守れるようになりますが、それは他人だった二人が、社会生活を営む上で責任と権利を分担し合う「家族」だと、公的に認められることであり、当事者に関わる全ての人々にとっても、両者の関係について特別な確認をする必要がなくなりシンプルな対応が可能となることを意味します。
経済の観点からでは、日本の社会制度の中に「家族」という単位が組み込まれている以上、その「家族」の厚みは、社会の安定化と経済の活性化に影響を及ぼすのは間違いなく、同性婚を認めることでその厚みを増すことができる上に、上述のように同性婚が認められてマイノリティーに対して寛容な国になったという印象を広められることで、有能な人材が海外から日本社会に定着しやすくなり、それらの効果が日本経済をより成長させ、日本国民全体がその恩恵を受けられる可能性が膨らむ、ということが考えられます。
ということで、反対している人々が言っていることは、全て主観に依拠するものであって、客観的根拠やロジックはどこにもないのです。
同性婚が認められたところで当事者以外にも特段のデメリットはなく、同性婚を認めるべきでない積極的な理由がないと思います。