1.
>靖国神社参拝が問題視されるのは、先の戦争に誘導したA級・B級・C級戦犯を祀りあげているからである。
問題の所在が違います。
靖国神社は、国営の「慰霊施設」ではありません。
靖国神社は、宗教法人の法人格を持っている「宗教施設」です。
すなわち、日本に100以上ある宗教法人の法人格を持つ「宗教施設」のひとつが
宗教法人靖国神社となります。
>だから、その人達を省いて、祀るようにすれば問題は起こらない。どうして、そうしないのか?不思議だ。
宗教法人靖国神社のA級・B級・C級戦犯の「合祀」という宗教方針に対して
A級・B級・C級戦犯の「分祀せよ」という圧力をかける事自体、
信教の自由に対する介入となり、やってはいけない事です。
宗教法人靖国神社のA級・B級・C級戦犯の「合祀」という方針に対して
・賛成する国民は、「私的」参拝すれば良いし
・反対する国民は、参拝しなければ良いだけの話です。
憲法が保障する信教の自由とは
国民の信教の自由を保障する事を「目的」としている以上
その保障する「手段」として、
国家権力が宗教には介入しない制度としている訳です。
2.
靖国と比較して、
アメリカのアーリントン国立墓地を挙げる人たちがいます。
しかし、
アーリントン国立墓地は陸軍が管理する「慰霊施設」であり、「宗教施設」ではありません。
この「慰霊施設」が意味するところは、特定の宗教は指定せずに、キリスト教や仏教などあらゆる宗教を信ずる戦死した方が眠っておられます。
したがって、外国の首脳が「公人」として「慰霊施設」を訪れて、献花をしていますが、
「宗教施設」ではないため、政教分離には反しない訳です。
そして「公人」として献花して一礼するくらいで、三拍四礼などの特定の宗教形式は取りません。
当時の中曽根総理大臣が、現職「公人」として、靖国「公式」参拝に踏み切った時に、
「アメリカにはアーリントンがあるのに、日本の靖国のどこが悪いんだ」と
記者会見で発言しました。
この発言に対しては、「宗教施設と慰霊施設の区別がついていない」として、
世界から笑われた訳です。
3.
日本の国営慰霊施設としては
「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」があります。
厚労省が管理しており、宗教性が一切ない「慰霊施設」です。
したがって、8月15日の終戦の日には、
・石破前総理大臣が、現職総理大臣の時に「公人」として
・岸田元総理大臣も、現職総理大臣の時に「公人」として
献花に訪れています。
在日米軍の司令官も、離任や着任の時には、
制服姿の「公人」の立場で訪れて、献花して敬礼しています。
4.
しかし、靖国神社は宗教法人の法人格を持つ「宗教施設」ですから
「公人」として公式参拝すると「政教分離違反」となります。
靖国神社の参拝という行為は、テレビでよく見る、社殿に上がり、神主さんの後ろをぞろぞろついていく「宗教行為」です。
一方、お賽銭箱に賽銭を投げ入れる行為は「宗教行為」ではなくて「世俗行為」に分類されます。
公人が「公式」参拝という「宗教行為」をすると、政教分離違反となります。
当時の愛媛県知事が、宗教法人靖国神社に対して、
参拝の前払いの性質を持つ「玉串料」を公費支出した事件で
最高裁大法廷から政教分離違反の違憲判決が出ています。(1997年)
5.
アーカイブを見ればわかりますが、
昭和40年代に、
宗教法人靖国神社を国家が強制収用して、
靖国神社から宗教法人の法人格を抜いて、
靖国神社をアーリントンみたいな、国営「慰霊施設」を目指す法案が
衆議院に提出されたようです。
しかし、宗教法人靖国神社側からの猛反発が出たようです。
宗教法人の法人格を抜いて、「神道」という宗教を否定されることに納得しなかったようです。
靖国神社が猛反発しているのに、
警官隊を投入して、強制収用してしまうと、宗教弾圧となるので、
強制収用をあきらめざるをえなかったと。
したがって、
宗教法人靖国神社の「神道という宗教施設としての存続する」という意思表明している以上、
靖国神社はあくまで「神道という宗教施設」として扱うべきであり、
「アーリントンのような国営慰霊施設」として
宗教法人靖国神社を扱うことは出来ません。