この作品のモデルには諸説あるのですが、
仮に既婚で経産婦であるリザ・デル・ジョコンドであれ、他の誰であれ、
ダ・ヴィンチがモデルの当該人物の美貌に畏敬の念と思慕を寄せていたことは疑いないでしょう。
イタリアからフランスに亡命し、フランソワ1世の城で加筆を続けたのは、時折、記憶の中に鮮明によみがえる、リザの美貌の記憶の断片を絵筆に載せて加筆を続けたのです。
とすれば、ダ・ヴィンチにとっても完璧な画像というのは彼の記憶の中にしか存在せず、彼にとってはリザの絵の肖像画も、完璧には程遠いものだったでしょう。
それでも加齢の為、記憶も衰え行く中で、絵を描く作業の中で時おり、
鮮明なリザの姿を蘇らせる機会に触れることは、ダ・ヴィンチ最後の幸福な時間だったでしょう。