慢性腎臓病(CKD)における貧血は、たとえ軽度であっても長期間持続している場合、積極的な評価と適切な介入が必要です。
軽度だから様子を見るという姿勢は、犬のQOLや予後に悪影響を及ぼす可能性があります。
CKDでは腎性貧血(エリスロポエチン産生低下に伴う貧血)が高頻度で発生し、これは疾患進行の指標でもあります。
軽度貧血であっても慢性的に続けば、組織への酸素供給が慢性的に低下し、倦怠感・運動不耐性・心負荷増大を招きます。
また貧血自体が腎機能をさらに悪化させる悪循環(腎性貧血の進行→腎虚血→腎障害増悪)を形成するため、早期からの管理が重要です。
軽度貧血が長期化している時点で、すでにいくつかの評価と介入を検討すべきです。
まず、貧血の原因精査として、腎性貧血以外の要因である消化管出血、鉄欠乏、炎症性疾患などの可能性を除外する必要があります。次に、PCV(赤血球容積率)やHCT(ヘマトクリット値)の推移を定期的にモニタリングし、貧血が安定しているのか緩徐に進行しているのかを判断することが重要です。
エリスロポエチン製剤の適応についても評価が必要であり、一般的にPCVが30%以下の場合や、臨床症状が認められる場合には投与開始を検討します。
また、鉄代謝の評価として血清鉄やフェリチンを測定し、必要に応じて鉄剤を投与することも考慮されます。
栄養管理の最適化として、腎臓病療法食の給与や、タンパク質・鉄分・ビタミンB群の適正摂取を確保することも管理の一環となります。
「軽度で元気だから介入不要」という判断は、潜在的な臓器負荷や将来的な悪化リスクを見逃すリスクがあります。
CKDの管理において貧血対策は疾患修飾的な意義を持つため、軽度であっても長期化している場合は、積極的な評価と段階的介入が推奨されます。
かかりつけ獣医師と相談し、定期的な血液学的モニタリングと、必要に応じた治療的介入を早期から取り入れることが、犬の長期的なQOL維持につながります。