その状態は、喉の筋肉が極度に疲労し、本来使うべきではない「外喉頭筋(首周りの筋肉)」で無理やり声を絞り出している典型的なパターンです。
後半に出る「キンキンした高い声」は、喉を過剰に締め上げることで声帯を薄く引き伸ばしている状態で、医学的には喉への負担が非常に大きく、ポリープなどのリスクも伴います。
この「後半だけ出る異常なハイレンジ」に頼らず、前半から楽に高音を出すためのトレーニングを紹介します。
1. 裏声(ヘッドボイス)の純化トレーニング
後半のキンキンした声は、地声の筋肉が強く介入しすぎた「ハイラリンクス(喉上がり)」の状態です。まずは地声の筋肉を完全に休ませ、裏声の筋肉(輪状甲状筋)だけを独立させて鍛える必要があります。
やり方: 「ホー」または「フー」という音で、フクロウの真似をするように、全く息漏れのないクリアな裏声を出してください。
目的: 喉を締めずに高音を出す「筋肉の通り道」を整理します。
2. リップロールでの「連結」強化
歌い始めから「幾億光年」などの音域に対応するには、地声と裏声の切り替えをスムーズにする必要があります。
やり方: 唇をプルプルと震わせるリップロールで、低音から高音まで滑らかにスライドさせます。
ポイント: 高音に行く時に喉が上がったり、力が入ったりしたらすぐに中断してください。一定の空気圧で出し続けることが重要です。
3. エッジボイス(喉の脱力)
歌い終わった後に声が低くなるのは、喉の筋肉が凝り固まっている証拠です。
やり方: 「あ…あ…あ…」と、途切れたようなブツブツ音(呪怨の声のような音)を出します。
効果: 閉鎖筋をリラックスさせ、声帯のバランスを整えます。歌う前や、曲の合間に行うと喉締めをリセットできます。
4. 「喉下げ」の筋トレ(舌骨下筋群の強化)
「喉を下げる力が強くなる」とのことですが、それは「下がっている」のではなく、喉が上がるのを防ごうとして上下の筋肉がケンカ(拮抗)している状態です。
トレーニング: 喉仏を指で軽く触りながら、あくびの真似をして喉仏を下げる感覚を覚えます。
歌唱中: 常に「あくびの喉」をキープしたまま、ボイストレーニングの基本である「腹式呼吸」による支えを意識してください。
今すぐできる対策
水分補給と休憩: 6時間は喉にとって過酷です。30分に一度は必ず数分の沈黙の時間を設けてください。
キー設定の見直し: 無理に原キーで歌わず、後半の喉の状態になる前に1〜2下げて、喉に負担のないフォームを体に覚え込ませるのが上達への近道です。
さらに詳しい練習法は、島村楽器のボーカルレッスンなどのプロの解説を参考に、正しいフォームを確認することをお勧めします。