中国に伝来した仏教は、当初は異文化的要素が多く、中国人にとって理解が難しい部分もありました。そのため、中国の在来思想を通じて仏教を解釈する風潮が生まれました。
『岩波仏教辞典』によれば、中国古典(孟子)では不変の道理を「経」、臨時の便法を「権」と呼びます。この枠組みが仏教理解にも応用されました。
中国仏教は儒家・道家の思想と深く関わりながら発展し、天台宗の教判体系にも影響を与えました。
権経・爾前経・実経といった概念は、こうした背景から生まれたものです。この教判は最澄を経て日蓮に受け継がれ、他宗批判の論理的根拠として活用されました。
また、『岩波仏教辞典』は「法華経などに見られる『末法』という漢訳語は、原語では単に仏の入滅後の時期を指すにすぎず、明確な三時思想はインドでは成立しなかった」と指摘しています。
末法思想は『大集経月蔵分』を根拠として中国で広まりましたが、隋代に成立したこの経典を釈迦の説法と誤解したことに基づく宗教的歴史観であり、後世の解釈の産物といえます。