江上波夫氏の『騎馬民族国家』は日本列島への騎馬民族の影響を論じた仮説ですが、札甲(鎧)の伝播経路については以下の点に注意が必要です。
・札甲の技術は確かに北アジアの遊牧民族から東アジアへ伝わりましたが、ご質問のような単純な一方向の伝播ではありません。
・スキタイやサルマタイの影響は中央アジアを経由して中国に伝わり、そこから朝鮮半島、日本へと伝播した可能性が高いとされています。
・匈奴、高句麗、新羅などは確かに札甲文化を持っていましたが、それぞれ独自の発展も遂げています。
・日本の古墳時代の甲冑は朝鮮半島からの影響を受けていますが、江上氏の騎馬民族征服王朝説自体は現在の学界では主流ではありません。
札甲の伝播は複雑な文化交流の結果であり、単線的な伝播経路として理解するのは難しいというのが現在の考古学的見解です。