認知平安時代にも、現在の認知症に相当すると考えられる記録が残っています。
当時は「物忘れ」や「言動の変化」といった形で記され、
『源氏物語』や『大鏡』などの文学作品にも、
高齢者が記憶力の低下や判断力の衰えを示す描写が
見られます。
もちろん当時は「認知症」という医学的概念は
ありませんでしたが、
加齢に伴う認知機能の低下そのものは、平安時代
にも存在していたと考えられています。
藤原実資(ふじわらの さねすけ)は道長より年長で、
朝廷の儀式・古例・政治の慣習に極めて詳しく、
「古記録の生き字引」 と呼ばれた人物です。
彼の日記『小右記(しょうゆうき)』は、
平安時代の最重要史料のひとつ。
朝廷の precedents(先例)に圧倒的に詳し
かった。そのため、道長のような権力者で
さえ、儀式や古例については実資に相談した
という記録が残っています。
道長は政治の中心人物でしたが、
「古事・先例の専門家」としては、実資の
右に出る者はいなかった。
実資は“道長に頭を下げなかった数少ない人物”
実資は非常に気骨があり、道長に対しても媚びず、
記録にも遠慮なく批判を書き残しています。
それでも道長は、
古事の相談だけは実資に頼らざるを得なかった。
この関係性がとても平安時代らしい。
藤原実資 (さねすけ)→ 道長が一目置いた
“大物”の古例専門家でしたが、長寿90歳でした。
彼の晩年には次のような記録が残っています。
物忘れが増えた
判断力が鈍った
家人に財産を奪われた
周囲の者が勝手に財産を処分した
これは、現代で言えば、認知症に近い状態
と考えられています。