古代の人々は天象を正確に記録するだけでなく、かなり早い時期からその運行法則についてまとめていました。後漢の張衡(ちょうこう)は著作『霊憲(れいけん)』の中で、月の光は太陽に由来するものであると記しています。地球が太陽の光を遮ったとき、月の光は消えて「月食」が起こるというのです。このことから、古代人がこの天象について深い研究を行っていたことが分かります。
月食だけでなく、甲骨文字にも多くの貴重な史料が残されています。「月有食(月食あり)」と記された卜骨(ぼっこつ)にある35文字は、筆画が鮮明で大きさも整っており、曲線と直線が組み合わさった刻みには変化の美しさがあります。その字跡は、今日に至るまでなおはっきりと残っています。
このような亀の甲羅や動物の骨に刻まれた文字は「甲骨文字」と呼ばれます。主に商(殷)から周の時代にかけて普及したもので、現在中国で発見されている中では最も年代が古い、成熟した文字体系です。これが漢字体系の基礎を築きました。
現存する約15万片の甲骨からは、4,500余りの単字が発見されており、そこに刻まれた内容は、祭祀、軍事、狩猟、天文など極めて多岐にわたっています。