デトロイトとウィンザーの位置関係は一見不思議に見えますが、これは歴史と地理がそのまま反映された結果です。
まず前提として、五大湖周辺の国境は湖とそれを結ぶ川で決められています。例えば有名な滝があるナイアガラ川は、同じ考え方がデトロイトにも当てはまります。デトロイトとウィンザーの間にはデトロイト川が流れており、この川の中央がそのまま国境線です。
ではなぜ川の北側にあるデトロイトがアメリカで、南側のウィンザーがカナダなのかというと、これは地理の向きではなく「どの土地をどちらが先に支配していたか」という歴史で決まっています。もともとこの一帯はフランスの植民地(ヌーベルフランス)でしたが、その後の七年戦争の結果、イギリスが支配権を獲得します。そしてイギリスはセントローレンス川から五大湖へと続く水路を軸に北側(現在のカナダ側)を統治し、南側は後に独立したアメリカ合衆国の領土になりました。
その後、独立したアメリカとイギリス領カナダの間で国境が整理され、五大湖とそれを結ぶ川の「中央線」が境界として確定します。これを最終的に明確にしたのが1818年条約などの取り決めです。その時点で川の北岸にあった集落がイギリス側(後のカナダ)、南岸がアメリカ側とされたため、現在の配置になりました。
つまり「北にあるからカナダ、南にあるからアメリカ」という単純な話ではなく、五大湖の水系に沿って国境を引いた結果、たまたまデトロイトが北側のアメリカ都市になり、ウィンザーが南側のカナダ都市になったということです。地図のイメージとは逆に見えますが、水の流れと歴史を基準にすると非常に自然な配置と言えます。