アメリカの原発の設備利用率は90%を超えていますが、日本では事故が無い時でも80%ぐらいです。アメリカの設備利用率が高い理由、あるいは日本の設備利用率が低い理由は何なのでしょうか?

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1166075

2026-08-01 09:55

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久し振りにまともな質問なので、詳しく説明します。



アメリカの設備利用率が高い理由、日本の設備利用率が低い理由は明確です。



まず単純に言えば日本の原発は13か月(約400日)毎(18か月、24か月の機器もありますが)の定期検査が義務付けられていますが、アメリカでは直接的にこの期間を規定する規制がありません。ただし、サーベイランス試験頻度が定められていますので、無制限ということはなく、18か月(約550日)あるいは24か月(730日)で定期検査を実施していますので、13か月と18か月または24か月の運転期間の違いが設備利用率の違いになっています。



更に、定検期間(原子炉が停止している期間)も、アメリカでは20~30日程度なのに、日本では80~90日と長くなっているのも設備利用率の違いになっています。



簡単に設備利用率を計算すると日本は400/(400+85)=0.825(82.5%)の設備利用率が限界ですが、アメリカは730/(730+25)=0.967(96.7%)の設備利用率がありうるということになります。



アメリカと日本の定検期間の違いは、点検項目の違いであり、これも単純に言えば、日本の方が、点検項目が約3倍も多いということです。



なぜこんなに点検項目数が違うかというと、アメリカの定期検査の考え方の中には経済的効果(投資対効果)も含まれており、機器が劣化することによってリスクが大きくなる可能性に対して、そのリスクが大きくなることによる安全機能への影響、点検でリスクの大きさを削減できる効果と、点検することによって失われる経済効果とを比較して、合理的な点検項目を決めているということです。



即ち、オンラインモニタリング(運転中の監視)、運転中の保守などで、劣化がほとんどないことが分かっている箇所の点検、万一劣化していて損傷が生じたとしても、そのリスクは軽微であることが分かっている(損傷後に交換すれば良い)箇所の点検、運転中の保守が可能な(点検済み)箇所などは原子炉を停止して実施する定期検査中の点検項目から除外しているということです。



なぜアメリカでできていることが日本ではできないのかは難しい問題です。アメリカ人と日本人の気質、文化の違いなどがあるからです。



即ち、アメリカでは、物事の本質を理解し、科学で解決できる問題に感情を持ち込まないということができていますが、日本では、例えば、安全(科学)と安心(感情)と言うように、科学と感情を同列に扱ってしまう気質、文化があるのです。



このため、定期検査(保守・補修)の規制に限らず、設置許可(安全審査)、設工認(または工認)、使用前検査の規制、技術基準の内容も、科学(工学)的必然性で決めているとは言えず、国民感情(と、いうよりマスコミの目)に配慮して、過剰な内容になっています。



日本のマスコミ(オールドメディア)は、著名人の発言の一部を切り取り、本人の発言の意図(本質)とは異なる報道をしたり、例えば御用学者というようなレッテル貼りで印象操作をしたりしますが、一般の人が、これをそのまま受け入れてしまう(嘘を信じ易い)という気質、文化が、残念ながらあるのです。



定期検査期間、点検項目をアメリカと同じように改善しようとすると、科学(工学)的にはそれが正しく、また、それによる経済効果で国民のためになるにも関わらず、マスコミは「安全の切り捨て」というように何の科学的根拠も示さないレッテル貼りの報道をして反対し、それを無視できずに国も、原子力規制委員会(NRA)も改善に踏み切れないということです。



日本のNRAに相当するアメリカの機関はNRC(Nuclear Regulatory Commission)であり、日本と同様に独立した規制機関ですが、独立とはいえその活動には外部の専門家で構成したチェック機関(Advisory Committee on Reactor:ACRS)があり、この他、国会(上院、下院)への報告も義務もありますが、日本のNRAにはチェック機関が無く、NRAが酷い活動をしても野放しの状態です。



このため、NRCが、規制側という立場ではなく、原子力安全に関わる同業として、電力事業者(産業界)と意見交換をする場を多く持っているのに対し、NRAは独善的、閉鎖的体質になっており、規制の改善などが進まないという状況です。ですから、日本の設備利用率がアメリカ並みに上がるという可能性は相当低いと考えられます。

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