リバウンドストロークって、ロール角を増やす原因になります。
コーナリング中、旋回内輪から外輪に荷重が移動します。
これは概念的に判りますよね?
この時、旋回外輪で車体が沈み込む運動が発生しているわけですが、内輪では逆に『車体を持ちあげる』力が発生しています。
そこでリバウンドストロークを制限してやると、単純にロール角が減る現象が見られます。
勿論リバウンドストロークを制限すると、、路面の凹凸の凹側ではロードホールディング(接地性)が低下するので、一般道を走る市販車とかラリー車では、こんなことは出来ません。
路面が良いサーキット向けのセッティングです。
但し。
リバウンドストロークが長いSUVや大型セダンなどでは、リバウンドストロークを規制してやると舗装路でのロールがある程度制限出来、過去にはそういうサスキットも販売されていました。
パッカーはバンプ側のばねに関することなので、リバウンドストロークとは関係ありません。
尚・・・ガチのレーシングマシン(F1など)でリバウンドストロークが殆ど無いのは、そもそも巨大なダウンフォースで押し付けているので、短いリバウンドストロークでタイヤが路面から離れる状況は想定しなくていいからです。
リバウンドストロークを排除するとサスペンションのリンク系はそれだけコンパクトで済み、特にF1などモノコックが狭いシングルシーターでは設計し易くなります。
ところで余談ですが。
『ばねの硬さ』に関して。
※ばねに支えられた物体は、必ず共振点を持ちます。
これを『ばね上共振周波数』と言います。
ばねが固ければ固いほど、周波数が上がります。
※路上を走っているクルマは、何でも1.2Hz狙いで設計されています。
1Hzではヤワ過ぎで、まともに走行出来ません。
これは’50年代のアメ車の、船の様に揺れる『ブヨブヨのばね』やトラック、ガチのスポーツカーも、概ねこの周波数を狙ってばねが設定されています。
周波数はセッティングによって多少変わりますが、設計時の狙いはあくまでもこの辺り、ということです。
この周波数は経験則によって求まったもので、理論的な妥当性はありません。
※市販の乗用車では、かなりスポーティなクルマでも、1.2~1.3Hzに概ね入ります。1.4Hzのばねになると明確に『乗心地が悪過ぎる』と感じます。
また市販車のサーキット走行用改造サスだと、ステージⅢとされる仕様で2~2.4Hzぐらいになります。
このばねで公道を走ると、バキバキとメタルtoメタルで部品が当たる様な、クルマが長持ちしないだろうな、っと思える音が車内に響きます。
※一方レーシングマシンでは。
LMH(耐久レース用の2シーター)で3.5Hz辺り、F1では5Hzを超えます。
もうガチガチです。一般道は満足に走行出来ません。
ここまでばねが硬いのは、空力的ダウンフォースが大きく、走行中は車重が倍以上になった様な垂直荷重がかかるからです。
LMHがF1よりばねが柔らかいのは、ル・マンにユーノディエールという長い直線があるのと、燃費を稼ぐためにF1ほどはダウンフォースが大きく出来ないという事情があるからです。(空力パーツは、ダウンフォース発生とかボルテックスの生成など、何か仕事をさせると必ず『誘導抵抗』が発生して、空気抵抗が増えます。)
※ちなみに。
ばね上共振5Hzというのは、小型トラックの半積載の荷台ぐらいの振動です。
トラックでも、空車と定積載では1.2Hz狙いで設計されており、半積載ではちょうど補助ばねが作動し始めた辺りで、非常に硬いばねとなっています。
2t積トラックに1t載せて荷台に座れば、『F1の乗心地』が体験できますよ。