古代ペルシアといっても広く時代も1200年にわたり、岩石砂漠といってもあちこちにあり、一冊ですべての地域について語っている書籍となると、『アレクサンドロス大王東征記』(岩波文庫上下)くらいしかないのではないでしょうか
メソポタミア北部あたりであれば、アケメネス朝時代のクセノフォン『アナバシス』があります。ササン朝時代ですと、『ローマ帝政の歴史』にも出てきますが、日本語訳は全三巻中初巻しか出ていません。本格的な描写のあるのはユリアヌスの遠征部分で、これは未訳の巻の方にありますが、初巻でもシャープール二世の侵攻部分で若干でてきます。
ササン朝末期だと、ペルシア帝国全土を征服したイスラームの侵攻を描いたイスラームの史書にでてきますが、もっとも詳細なタバリーのイスラーム侵攻時代の部分は未訳です。もしかしたら初期イスラーム時代に書かれた史書であるバラーズリー『諸国征服期』(日本語訳アリ)にそうした描写があるかも知れませんが、砂漠の住民にとって砂漠は珍しいものではないので、あまり描写は少ないかも知れません。
古代から現代まで細かくは景観が変わっているところはおおいかも知れませんが、おおきくはさほど変わっていない筈なので、現代の地理や紀行本、旅行記をあたることでも景観情報は得られるのではないでしょうか
中世や近世の旅行記では次のものがあり、砂漠旅行の描写があります。
森本一夫訳「ナースィレ・フスラウ旅行記」(11世紀)
吉田正春『回疆探検 ペルシャの旅』(19世紀末)
足利惇氏『ペルシアの旅』(20世紀前半)