例えば、『枕草子』「大納言殿参り給ひて、文のことなど奏し給ふに」の章段に、こんな文があります。
「上もうちおどろかせおはしまして『いかにありつるぞ』とたづねさせ給ふに…宮も興ぜさせ給ふ」
(帝もお目覚めになって『どのようであったのだ』とお尋ねになる時に…・中宮様も面白いとお思いになる」)
わかりますかね。上=帝にも宮=中宮にも二重敬語が使われていますね。「一番偉い人を選んどけば間違いない」ということになると思いますか。ここで一番偉い人は明らかに、上=帝です。「宮も興ぜさせ給ふ」と主語が書いてあるところを、「二重敬語だから一番偉い人」という誰が考えたのかわからないデタラメなルールで読むとどんな悲惨なことになるか。
「まあそうですけど」には決してなりません。