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ブッシュ・ド・ノエル(Bûche de Noël)がフランスで定着した背景には、古い冬至の風習と19世紀以降の菓子文化の発展が深く関係しています。
もともとヨーロッパの多くの地域では、冬至の時期に「ユール・ログ(Yule log)」と呼ばれる大きな薪を暖炉で燃やす風習がありました。これは、冬の闇を追い払い、新しい年の光と豊穣を願う象徴的な儀式でした。
フランスでもこの風習は中世から続いており、特に農村部では家族が集まり、特別な薪を燃やして祝うことが伝統となっていました。
しかし、19世紀に入り都市化が進むと、暖炉のある家が減り、実際の薪を燃やす風習は次第に廃れていきます。そこで登場したのが、薪の形を模したケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」です。
このケーキは、失われつつあった伝統を象徴的に再現し、家庭の食卓で祝う新しい形として受け入れられました。
最初にこのケーキが登場したのは19世紀末のパリとされ、ロールケーキにチョコレートクリームを塗り、フォークで木の年輪のような模様をつけるというシンプルなものでした。
その後、フランス各地のパティシエたちが工夫を凝らし、マッシュルーム型のメレンゲや粉砂糖で雪を表現するなど、見た目も華やかに進化していきました。
また、フランスではクリスマスに家族でごちそうを囲む文化が根強く、食後のデザートとしてブッシュ・ド・ノエルはぴったりの存在でした。
伝統と美しさ、そして味わいを兼ね備えたこのケーキは、瞬く間に全国に広まり、今ではフランスのクリスマスに欠かせない定番スイーツとなっています。
つまり、ブッシュ・ド・ノエルは、古い風習を現代の形で受け継ぎながら、フランス人の美意識と食文化の中で自然に根付いていったのです。