こういうのはしっかりと数値で見て行く必要があります。
まず日本の生産年齢人口を見ると、1990年時点で約8590万人であるものの、2020年時点では約7466万人で13%の減少をしています。
同期間で他国を見ると中国・アメリカは30%の増加、韓国は25%の増加、イギリス・フランスは15%の増加なので日本は異常値と言ってよく、大規模戦争をしているようなものです。
因みに1960年から1990年の30年で見るなら、日本も現在の中国・アメリカと同等で30%の増加をしていたので経済成長できていました。
また生産年齢人口が支えなければならない非生産年齢人口の比率を経済学で従属人口指数と言い、数値が大きいほど労働者の負担も大きいですが、この推移を近隣諸国と比較すると以下のようになります。
国:1990年→2023年
日本:43.5→70.1
韓国:44.2→41.4
台湾:49.9→44.8
中国:52.0→44.7
米国:52.2→53.9
1990年の日本は他国と比較しても数値は低いですが、2023年には他国を圧倒する上昇を見せ、もはや労働者の負担は限界まで高まっています。
また少子高齢化の問題は、若者が生産性の低い産業で働く事を意味します。
それが介護で、日本では2000年から2024年までに300万人以上も介護職員が増えていますが、この生産性が非常に低いです。
普通に考えたらわかりますが、自動車工場なら徹底した機械化投資がされるので、工員が一人で生産できる自動車の数は半世紀で何倍にも増えています。
しかし介護士が一人で介護できる高齢者の数は殆ど増えておらず、この生産性を高めるには大部屋に高齢者を集めてAIで監視し、異常を察知すればベルトコンベアで医務室に運ぶような施設を作らない限り出来ません。
それは人権的に不可能なので、どこの国を見ても介護の生産性と賃金は低く、日本も事情は同じとなります。
そうした介護業界で300万人も労働者が増えているわけで、端的に言えば「日本人はどんどんと低賃金労働者になっている」と言えます。
高度経済成長期では、世界で最も機械化投資が行われている製造業に若者が次々と就職していたので、日本全体で生産性と賃金が上昇していく好循環でしたが、現在の日本は生産性と賃金が低い業界でしか労働者が増えません。
この人たちは「将来的に会社の商品がヒットしてボーナスが増える」という希望もないわけです。
日本で生産性と賃金が伸びないというのは、至る所で報道されていると思うので割愛しますが、台湾や韓国は生産性の高い産業に次々と若者が就職できるので、一人当たりGDPでも日本を抜きました。
このように日本の貴重な若い労働者が生産性の低い業界に就職するのと同時に、これは介護以外でも賃金が伸びない原因となります。
政府は常々景気対策をしながら民間企業に賃金アップを要請していますが、仮にそれが実現すると相対的に介護士の賃金が低下して老人ホームを保てなくなるので、民間企業で賃金が上昇する気配があると増税・社会保険料の増額を行い介護費を増やします。
社会保険負担率も1990年の10%から現在は18%まで上昇しているので非常に負担が大きくなりました。
すると民間企業でまた消費と売上が減少するので従業員の賃金を上げる事はできず、日本全体が介護士の賃金を中心とした給与体系になってしまいます。
こうして日本全体の賃金が伸びず、その中で増税と社会保険料の増額で負担が増えていき、それでも労働者が足りない人手不足と騒がれる状況です。
これは相当にヤバいというのはわかると思います。
幾ら日本人に効率的な労働をしろと言っても、介護を製造業並に効率化できている国はありません。