Q.遺伝子組み換えの混入があると何がまずいんですか?
A.遺伝子組み換え(GMO)作物が、意図せず非組み換え作物に混入してしまうこと(不純物混入)には、主に『消費者の選択権、経済的損失、環境・安全性の管理』という大きなリスクがあります。
・ 表示制度と消費者の選択権の侵害
多くの国(日本含む)では、食品表示法によって遺伝子組み換え食品の表示が義務付けられています。遺伝子組み換えでない(非組み換え)と表示された食品に一定以上の割合で混入があると、虚偽表示になってしまいます。
思想や健康上の理由でGMOを避けたい消費者が、知らないうちに口にしてしまうことになります。
メーカーは商品の回収(リコール)を余儀なくされ、社会的信用を大きく失います。
・輸出入における経済的トラブル
これが最も現実的で大きな問題になることが多いです。国によって承認されている遺伝子組み換え品種は異なります。日本で承認されていない品種が輸入作物に混入していた場合、その貨物はすべて廃棄または送り返し(シップバック)になります。船一隻分のトウモロコシや大豆が受け入れ拒否になれば、数億円単位の損失が発生し、サプライチェーンが混乱します。
・生態系への影響と耐性菌の問題
環境面では、組み換え遺伝子が野生種や近縁の作物に広がってしまう(遺伝子汚染)ことが懸念されています。除草剤耐性を持つ遺伝子が野生の雑草に映ると、除草剤が効かないスーパー雑草が生まれ、農業に悪影響を及ぼします。 生物多様性の低下は特定の性質を持つ植物が周囲を圧倒し、地域の固有種を追い出してしまうリスクがあります。
・アレルギーや安全性の未確認
承認済みのGMOは安全性が確認されていますが、開発途中のものや未承認のものが混入した場合は話が変わります。特定のタンパク質を作るように設計された遺伝子が、アレルギー体質の人にどのような影響を与えるか予測できない場合があります。過去には、飼料用としてのみ承認されていたスターリンクというトウモロコシが食用に混入し、世界的な問題になった事例があります(未知のアレルゲン)
なぜ厳格に管理されるのか、一言で言えば、一度混ざってしまうと、後から完全に取り除くことが不可能だからです。 種子や花粉を通じて自然界に広がったり、物流の過程で混ざったりすると、食の安全管理の枠組みそのものが機能しなくなってしまいますので意図しない混入を防ぐためのIPハンドリング(分別生産流通管理)という厳しいルールが運用されています。