結論から言うと、幸手市は夕張市のような財政破綻(財政再生団体)にはなっていませんが、2000年代後半〜2010年代にかけて実質公債費比率が非常に高い=破綻寸前と強く懸念された自治体でした。
なぜ東京近郊なのに、周辺自治体と比べてそこまで悪化したのか、構造的な理由があります。
① 最大の原因:人口規模に見合わない大型公共事業を行った。
幸手市の人口は約5万人ですが、一方で、幸手市は大規模な区画整理事業、道路・公共施設整備、市街地拡張を前提とした都市基盤整備等を、将来人口が増える前提で進めました。ところが実際には、首都圏近郊だが鉄道利便性は弱め(東武日光線のみ)、住宅開発が想定ほど進まない、若年層流入が限定的という現実に行き当たりました。その結果、借金(市債)だけが残り、税収が追いつかなかった経緯があります。
② 市単独事業が多く、広域連携が弱かったという戦略をとった。近隣自治体を見ると、久喜市は合併(久喜・栗橋・鷲宮・菖蒲)で規模拡大、行政効率運営を行い、宮代町・杉戸町は規模が小さい分、背伸びした投資を抑制しました。春日部市は東武伊勢崎線・野田線の結節点で人口集積力が強い特徴があります。一方、幸手市はに合併に消極的で、単独市として都市機能整備を継続し、市の規模以上の自治体運営をしてしまったという面があります。
③ 公債費比率が危険水準に達した。特に問題視されたのが、実質公債費比率が18%超に達したことです。25%超で財政再生団体になり、18%超で起債に国の許可が必要になります。つまり、自由に借金できない状態に近づいたことになります。実際には、夕張市のように一気に破綻したのではなく、静かに首が絞まっていくタイプの危機だったのが特徴です。
④ 高齢化と人口減少のダブルパンチ。郊外型ベッドタウンとして造成された住宅地が一斉に高齢化し、子育て世代の流入が鈍化しました。固定資産税・住民税が伸びない、社会保障費(医療・介護)が増大するという悪循環に陥りました。