まず、無線通信の特徴からご説明します。
インターネット通信は、屋外からは有線(光ファイバー)で質問者様のご自宅まで届き、宅内で終端されます。
その後、L2 フレームとして各端末がインターネットに接続できる状態となり、多くの場合、宅内では Wi-Fi(無線 LAN)を使って端末と接続します。
ここで重要なのは、「Wi-Fi では実際に何が起きているか」という点です。
Wi-Fi の無線信号は、OFDM(直交周波数分割多重)方式により、データをシンボルと呼ばれる単位に変換して送信しています。
環境や規格にもよりますが、1 秒間に数千〜数万個のシンボルが送受信されます。
無線通信は、
壁や床による減衰
反射によるマルチパス
金属・配線・鉄骨などによる干渉
といった影響を非常に受けやすいという特性があります。
そのため、環境によっては L2 レベルでの再送 や、
同一シンボルの欠落・再送要求 が発生します。
この際、Wi-Fi では LDPC(低密度パリティ検査符号)と呼ばれる誤り訂正ビットが働き、
一定範囲内のエラーであれば自動的に補正されます。
ただし、補正が増えると通信の安定性を優先するため、
MCS(変調・符号化方式)が MCS11 → MCS6 のように下げられ、
結果として 通信速度(スループット)が低下 します。
この影響を緩和するため、Wi-Fi ではシンボル間に
ガードインターバル(GI:空白時間) を設けています。
例えば、
Wi-Fi 5(802.11ac)では
ショートガードインターバル:400ns
Wi-Fi 6(802.11ax)では
高密度な MCS に対応するため:800ns
と、密度が上がるにつれてガードインターバルも長くなっています。
つまり、
シンボルの密度が高いほど、距離や障害物の影響を受けやすい
ということになります。
Wi-Fi ルーターから距離が離れるほど、
また壁・床・階段・玄関まわりの構造物を挟むほど、
これらの影響は顕著になり、通信は不安定になります。
ご自宅の玄関付近で電波が弱くなるのは、
まさにこの「距離」「床・壁」「構造物による減衰と反射」が
重なって発生している現象と考えられます。
補足(中継機について)
中継機は「電波を増幅する装置」ではなく、
一度受信して、改めて再送信する装置です。
そのため設置位置が適切であれば効果はありますが、
受信状態が悪い場所に置くと、逆に不安定になる場合もあります。