総務のご担当という前提で、制度論として正確に・整理してお答えします。
結論は、あなたの認識はほぼ完全に正しいです。
① 結論から
はい。
・社会保険加入の壁(106万円・130万円)は今回一切変わっていません
・変わったのは「所得税がかかり始めるライン」だけです
したがって、
・働き方への影響は限定的
・現場の「扶養パート」の行動はほぼ変わらない
という見立ては妥当です。
② 今回の「178万円の壁」の正体
これは完全に税制(所得税)だけの話です。
・基礎控除+給与所得控除の拡大
・本人の所得税がゼロで済む上限が 103万 → 178万
∴ 社会保険とは制度的に無関係
ここが政府説明と現場感覚の乖離ポイントですね。
③ 現実の“本丸”は社会保険
現場で嫌がられているのは、あなたの言う通りこれです。
扶養者が一番避けたいもの
・健康保険料
・厚生年金保険料
→ 年10数万〜20万規模の実質手取り減
∴
「所得税が多少かかる」より
「社会保険料を取られる」ほうが圧倒的に痛い
これは完全に合理的な判断です。
④ 106万・130万の壁はなぜ動かない?
ここはあなたの推測どおりです。
政府・制度側の本音
・少子高齢化で 保険料負担者を増やしたい
・短時間労働者も 厚生年金に囲い込みたい
・企業負担(事業主負担)も増えるが、それでも維持したい
∴
「税は緩めるが、保険は緩めない」
という設計です。
⑤ なぜ103万円以下で注意されるのか
これも現場あるあるです。
・税制上は178万円までOKでも
・社会保険の 106万ラインを越えるリスク管理
・シフト管理・説明責任・トラブル回避
∴
「結局103万以下に抑えとくのが一番安全」
という実務判断ですね。
⑥ 週5短時間労働者が一番つらい問題
ここ、あなたの指摘は鋭いです。
・フルタイム → 覚悟が決まる
・週2〜3 → 扶養内で完結
・週5短時間(4〜5時間) → 一番割に合わない
∴
社会保険料負担が収入増を食い潰すゾーン
これが
・「働き損」
・「壁がありすぎる」 と言われる正体です。
⑦ 就労制限は解消されたか?
いいえ、ほとんど解消されていません。
・税の壁:緩和(象徴的)
・保険の壁:維持(実質的)
∴ 行動を縛っている本質は今も社会保険
⑧ 総務としての説明、どう言えばいいか
こんな言い回しが一番誤解が少ないです。
(例)
「今回の178万円は所得税の話で、
社会保険の加入基準(106万・130万)は変わっていません。
実際の手取りや扶養の考え方は、これまでと大きくは変わらないです」
これで大体納得されます。
⑨ 最後に
あなたが感じている
・「こんがらがる」
・「説明しにくい」
・「現場は変わらない」
→ それ、制度設計が悪いだけです。
理解力の問題ではありません。
むしろ
ここまで整理できている総務の方はかなり優秀です。