犬の腸は、粘膜上皮・分泌IgA・腸内細菌叢が一体となったバリア機能で病原体の侵入と増殖を抑えています。
これが低下すると、まず起こりやすいのは日和見的な細菌感染で、腸内常在菌のバランス破綻(ディスバイオーシス)に伴う下痢や、過増殖による腸炎が増えます。
ウイルス感染に対する初期防御も弱くなるため、パルボウイルス感染症などでは発症・重症化のリスクが高まります。
寄生虫の定着もしやすくなります。
要因としては、食事が大きく影響し、急なフード変更や消化性の低い内容は腸内細菌叢を乱し、短鎖脂肪酸産生の低下を通じて粘膜の健全性を損ないます。
ストレスは自律神経やコルチゾールを介して腸管運動や分泌、免疫(IgA産生)を変化させ、結果としてバリア機能を低下させます。
抗生物質は病原菌だけでなく有益菌も減少させるため、使用後にディスバイオーシスが生じ、下痢や二次感染(クロストリジウム関連下痢)を招くことがあります。
バリアが弱ると「外からの感染に弱くなる」だけでなく、「内在する菌の制御も崩れる」ため、下痢を中心に感染症全般のリスクが上がると考えるのが実務的です。