先のご質問に回答をした者です。先のスレッドが終了しておりますのでこちらに追記する形で回答をします。質問者様も今後のことでご不安があるかもしれませんので。やや専門的な説明になると思います。
先に書きましたように急性膵炎と慢性膵炎は別の病気と言っても過言ではありません。病気の定義ですが急性膵炎は文字通り急にアルコールや過度の脂質過剰等の要因で膵臓に炎症が発症する病気とされています。膵臓は内分泌と外分泌の働きがあり内分泌がインシュリン、グルカゴン等の分泌で血糖値を司ります。外分泌は消化酵素を出して食物を消化させる働きですが、この外分泌酵素は本来、十二指腸に入ってから活性化されるのですが、なんらかの要因により膵臓内で活性化してしまい自分の消化液で自分を溶かしてしまう(自己消化)が起こってしまうのが膵炎です。簡単に言えば膵臓が溶けてゆく状態なので超激痛が出ます。一時的な炎症なので急性膵炎は治癒すると言われますが10年ほど前までは膵臓は非再生臓器と言われていました。近年の研究でまったく再生しないわけではないということが判明しましたが肝臓のような強い再生力はなく、再生力は非常に弱いので一度炎症が起これば膵臓組織にダメージは残ります。よって再発しやすい病気であり膵臓学会では中等症以下の病態でも治癒後の5年間は要注意と言われています。治癒といっても完治はなくて寛解までと思ってよいと思います。
これに対して慢性膵炎は炎症がジビジビと慢性的に続く病気で不可逆的な進行性の難治性疾患で治癒はありません。診断のエピデンスは年々更新されていますが簡単に言えばCT画像で膵臓の萎縮や石灰化が見られる、膵石が認められる、MRIでのMRCP画像で主膵管の拡張や狭窄、蛇行などが見られるなどが認められた時に慢性膵炎と診断されます。画像検査でこのような状態になればどんな医師でも診断可能ですが、しかしながらこのような状態は病気がかなり進行した状態であり、初期ではまだ膵臓が形状を保っているのであらゆる画像検査でも正常像しか見られないことも多々で、EUSが出来るまでは診断が非常に困難でした。慢性膵炎でも明確な自覚症状がなく突然に急性増悪が起こり急性膵炎同様症状になることがあり、この場合の治療は急性膵炎同様となります。診断では急性膵炎とされますが実は慢性膵炎であることがなかなか診断できません。このように慢性膵炎も急性膵炎と判別がつかない急性増悪を起こすことも珍しくありません。
また膵炎は個人の自覚症状にもかなりの個人差があり、胃の病気とも似た自覚症状、また背部痛では腎臓結石と似た症状になることも多いので誤診されることも多く正確な診断ができる医師が限られます。
急性膵炎を繰り返すことにより慢性膵炎に移行する場合があるとも言われますが、急性膵炎後に飲酒を継続して簡単に再発する場合もありますが、他には実際には急性膵炎を繰り返すのではなく慢性膵炎の急性増悪が繰り返している場合があり、その判別は難解です。また先に述べましたように慢性膵炎の根本原因は一種の先天的免疫異常ですので単に急性膵炎を繰り返すことにより慢性膵炎に病気が移行するというのは疑問があります。
元々に慢性膵炎があり、急性症状が繰り返して起こっていたと解釈する方が自然に思えます。膵臓は実に難解な臓器であり専門医でさえ掴みどころがなく難しいと言われ、膵炎も病状の個人差も多く難解です。特に慢性膵炎の発病期や初期段階ではEUS以外の検査では正常値しか示さないことも珍しくはなく、過去は痛みの明確な自覚症状があるのに診断が降りず、ドクターショッピングを重ねておられる方々も多く、また医師によっては痛みが精神的な要因と決め付けて心療内科へ廻すというようなとんでもないことも多くありました。よって医師ではありませんがお困りの方々のご相談を受けておりました。私が発症した時も急性膵炎との診断で慢性は否定されていましたが、納得できず、また当時はまだEUSが出ていませんでしたので様々に苦労をいたしました。
慢性膵炎の発症機序を解明されたのが近畿大学医学部(京大系列)で、発症機序は解明されましたが、まだ治療可能な段階にまでは至っておりません。
自己免疫性膵炎については近大で治験が開始されたとの情報を得ましたが、慢性膵炎についてはさらに難解で、まだそこまでは至っていないようですが京大医学部との合同研究がされており将来的には今まで治癒できなかった慢性膵炎も治療可能となる日が来るのではと思われます。
ややこしい説明になりましたが、これでもかなり簡易的に述べました次第で、実に難解な病気であり、一般の消化器内科では膵臓に詳しい医師は稀であり診断が困難な病気です。
先にも述べましたが、高度医療機関で膵炎を否定されておられると思いますので大丈夫とは思いますが、もし自覚症状で納得ができないことがあればEUS検査を受けられてください。