「あなたに特別な理由がなければ、俺の氏にするね。」
ここがターニングポイント。
あなたの改姓へのスタンスは彼に「可」とも「非」とも明示されていません。
そのこと自体はまったく悪いことではなく、あなたの中にも葛藤がある以上は葛藤をそのまま言い表すしかなかったのでしょう。むしろ誠実だと思います。
ただし明示されなかった以上、彼がその葛藤状態が彼に正確に伝わらないのも無理はありません。
(たとえば子供が毎朝「学校に行きたくない」と言いながら登校しているとして、「行きたくない」と「行かなきゃ」の割合がどれくらいかなんて簡単には分かりませんよね。時がたてば変わりますし。)
おそらく彼にはあなたの本当の気持ちよりはやや「変えてもいいや」寄りに伝わってしまったんだと思います。それが「あなたに特別な理由がなければ、俺の氏にするね。」ではないでしょうか。
後半分を読む限りあなたは「気持ちが伝わらなかった」という絶望に似た気持ちを感じたようですが、本来はそこで「あっ、やっぱり伝達がズレてる。しっかり伝えないと」と反応しなければいけません。彼からあなたへの対話のチャネルは開いているので、あなたがそこでもう一度言わないならチャネルを閉じたのはあなたということになります。
あなたが変なこだわりをもっているとは言いきれないと思います。94%が男性側に改姓するとはいえ、女性が「ぜんぜんOK」と葛藤なく受け入れたケースがどれだけあるか分かりません。多くの女性に多かれ少なかれ葛藤はあったのではないでしょうか。この「多かれ少なかれ」が問題で、パートナーがどれくらい葛藤しているのかは簡単に伝わらないのです。数値化できませんし。なのでじっくり対話して相互理解を深めるしかないんです。
それはいつ?
いつでもいいんです、改姓してしまう前なら。最初にあなたが思いを伝えたタイミングでもよかった。でもその時期に難しい話で関係をこじらせたくないのも十分理解できます。なので改姓への認識がズレたまま関係が深まって結婚が現実化する。でも避けては通れないので出てきた。
「あなたに特別な理由がなければ、俺の氏にするね。」
これは「その時が来た」サインなのです。完璧に伝わっているのでなければ当然露呈して向かい合わなければならないズレが、ついに姿を現した瞬間です。【いつやるの?今でしょ!】というやつです。あなたはここで「ああ、やっぱり押しつけてきた」ではなく「やっぱりズレていたか。さあ、もう向き合ってじっくり話さなければ」と覚悟を決めなければいけません。いったんその話題は終わってしまったんだと思いますが、まだ遅くありません。もしそこで曖昧に譲歩してしまったなら「蒸し返すようでごめん、このまま消化できないから、しっかり話をさせて」と言って二人の話し合いを始める必要があります。
その上で、あなたの思い(彼に何を望んでいるのか)があなたの中で明確になっている必要があります。たとえば「一言私への気遣いがほしかった」と言えば、彼はすぐに謝ってくれるでしょう。でも一言の気遣いであなたは本当に良いんですか?
彼氏が「じゃあ、君の姓にしたいの?」と言ってきたらどう思うでしょう。まさか「そこまで言ってない。私がわがまま言ってるみたいに言わないで」と言い出したりはしないでしょうが、かと言って「よし私の姓で」とも思わないんですよね。思うなら最初のあなたの話は何だったということになります。
つくづく、葛藤というのは(数値化できないのはもちろん)言葉にするのも難しいですよね。だから簡単に伝わらない。簡単に伝わらないなら「時間と気持ちを注ぎ込む」しかありません。今までの男がどうであったかなんて関係ない。だって彼らはあなたの夫にふさわしくないんだから。今の彼と結婚するつもりなら「彼は大丈夫だ」と信じてぶつけるしかないでしょう、曖昧なあなたの葛藤を(←繰り返しますが曖昧で当然)。
いま必要なのは彼の賢明さでもあなたの犠牲でもなく、対話なのではないでしょうか。