犬の安静時呼吸数は通常、完全に眠っている状態で分単位に測定し、概ね30回/分未満が目安とされます。
問題は「睡眠時だけ増える」ケースですが、生理的変動(浅い眠りや夢見=REMでの一過性増加、体温・環境温度の影響)と病的増加を分けるには持続性と再現性を見るのが実務的です。
短時間で上下する、深い睡眠に入ると下がる、日によってばらつくといったパターンは生理的範囲に収まることが多い一方、毎晩のように持続して30回/分を超える、40回/分以上が繰り返し記録される、起床後もやや高めが残る場合は病的意義を考えます。
特に心疾患では肺うっ血に伴い睡眠中でも呼吸数が持続的に上昇しやすく、呼吸器疾患でも同様に増加が見られます。
貧血では酸素運搬能低下に対する代償として頻呼吸になることがありますが、単独で「睡眠時のみ顕著」という形はやや非典型です。
臨床的には、連日同条件での記録(できれば動画)でトレンドを確認し、「30回/分超が持続」「上昇傾向」「他の症状(咳、運動不耐、努力呼吸)」のいずれかがあれば精査(胸部X線や心エコーなど)に進むのが現実的な判断基準です。
一過性ではなく繰り返し再現される高値かどうかが、生理と病的の分岐点になります。