『FF10』で使用された楽曲は、サウンドトラック基準で考えると、91曲あります。その中で、植松伸夫さんが作曲された曲は51曲。だいたい半分ちょっとくらいは植松さんの作曲BGMということになります。残りの楽曲は、浜渦正志さん、仲野順也さんが作曲しています。この曲数を考えると植松さんの作曲の曲が「少ない」というわけではないと思います。
「雰囲気が違う」と思われるのは、2つ理由があります。
一つは、ゲーム機がPS2になり、使用できる音源のクオリティが大きく向上したこと。PS1時代だった『FF9』とは比べ物にならないほど、豊かな音像や表現が可能になりました。『FF9』までと雰囲気が異なる、というと、ここも大きな影響があると思います。
もう一つは『FF10』は「作曲」と「編曲」を違う人が担当している曲がある、ということです。BGM作りは、メロディを考える「作曲」と、その作った曲に対して「どういう楽器を使うか」などを決める「編曲」に分かれています。『FF9』までのBGMは、全て植松さんが作曲し、編曲も植松さんご自身でされていました。しかし『FF10』は、作曲は植松さんがされて、編曲は別の方(浜渦さん、仲野さん)が担当する、という楽曲があるのです。この「編曲」は担当者によってアプローチが異なりますから、植松さん作曲でも、編曲によって植松さんのBGMとは違った雰囲気に聴こえる、ということが生まれているのだと思います。
もちろん、植松さんが編曲部分に一切携わっていないわけではないとは思いますし、最終的には植松さんがOKしているので、「植松さんの思っている楽曲と違った楽曲になってしまっている」ということは無いはずです。そして『FF10』は植松さんのご担当以外の方の仕事も非常に高い評価を受けていますので、クオリティが下がったわけではないと思います。私も『FF10』の楽曲は全て素晴らしいと思っています。ただ「雰囲気が違う」のは間違いないので、そこは好みがありますから、そこをどう受け止めるかというところでしょう。『FF9』までの方が好きという方もたくさんいますし、『FF10』も変わらず素晴らしいという方もたくさんいます。