物理学における、最小作用の原理。トンネル効果。束縛状態の安定性。
が、関係しています。
主記の核融合において、実現可能な最も低いエネルギー状態での安定状態の
形成が、ヘリウム核の形成と、中性子の放出反応です。
あなたの指摘している、中性子の放出と、二個の重水素の発生は、もちろん
可能性としては、考えられますが、二個の重水素が安定に形成する束縛状態が
計算上存在しないということで、実現性がほぼ無いとされています。
また、あなたの記述では、中性子を放出してから、核融合が起きているように
読めますが、実際には次のように仮定されています。
核融合:
・トンネル効果によって核子同士が接近する。
・核子の有効範囲内に入った瞬間に束縛状態が形成される。
・その結果として、中性子が放出される。
という順序が本筋です。
つまり、中性子が放出される前に、ヘリウムー4核(またはその全駆状態)
形成されていると考えるのが、現代の量子力学の理解で自然なのです。
詳しく言うと、
・陽子同士はクーロン斥力で反発する。
・中性子も含め、核子同士は短距離でのみ、強く引き合う(核力)
・その短距離とは、1~2フェムトメートル(10^-15m)
⇒通常の熱エネルギーでは、そこまで接近でないです。
そこで介在するのがトンネル効果。
・クーロンの斥力を量子力学的にすり抜ける。
・これにより、核子同士が核力の有効範囲内に侵入できるようになる。
・侵入した瞬間、核力が支配的になって、束縛状態が形成される。
束縛状態の形成と中性子放出の順序
・D(重水素)+ T(三重水素)が接近 ⇒ 一時的に5核子(陽子X2+中性子X3)を形成。
・この状態は非常に短命な共鳴状態(励起されたヘリウム-5)とみなされる。
・そこから
中性子が放出され
残りの4核子が束縛されて、ヘリウム-4になる。
上記は、時間的な順番というよりも、量子力学的な全体としての遷移として
記述されます。
厳密には量子力学では、中性子が先に飛び出したり、ヘリウムが先にできるという、古典的な順序性は意味を持たないです。
ただし、反応の最終状態として、観測されるのは、ヘリウム-4と中性子
であり、そのエネルギー・運動量の分布から、
束縛状態が形成された後に、中性子が放出された、と解釈するのが
自然です。
最小作用の原理は、
最も寄与の大きい経路=古典的経路を選ぶという意味であり、トンネル効果や
束縛状態の形成に深くかかわっています。
トンネル効果も、古典的には通れないが、作用が近い経路が存在することで
起きています。
束縛状態の形成も、全体の作用が最少となるような構成を取る(=安定な結合)となります。
あなたのおっしゃる、重水素が二つ形成するという束縛状態は、量子力学的には、きわめて不安定であり、普通の自然界や実験環境で実現できないとされているようです。
この、最小作用の原理を突き詰めた物理学はランダウ=リフシッツの理論物理学教程として、有名です。ランダウ自身が高名な核物理学者です。
また、私は同じくロシア学派のダヴィドフの核物理学・高分子物理学にちょこっとだけ
接したのですが、大変興味深かったです。