硫化鉄ではなく、硫酸鉄のことではないでしょうか。
硫酸鉄はなぜ酸性なのか、という疑問を持っていると仮定して話します。
硫酸鉄(II)を水に入れるとどうなるか。水の中でバラバラになります。
鉄イオン、硫酸イオン。ここで大事なのはそれぞれの生まれです。
硫酸イオンは硫酸という超強力な酸からやってきました。硫酸はH+を手放したくてたまらない性格。だから、硫酸イオンになったあと、またH+とくっつきたいなんて未練は全くありません。一方、鉄イオンはどうでしょう。彼は水酸化鉄という弱塩基の親戚みたいなものです。水酸化鉄はOH−を手放すのがあまり得意じゃありません。
ここで事件が起きます。水の中には大量の水分子がいます。鉄イオンはプラスの電気を持っているから、マイナスの電気を帯びた水分子の酸素側を引き寄せます。(水和という)
すると、鉄イオンのプラスの力が強すぎて、くっついた水分子の中の電子をグイグイ引っ張ります。そうすると、水分子の中にあるO−Hの結合が弱くなります。耐えきれなくなった水素原子が、電子を置いてけぼりにして水素イオンとして弾き出されてしまいます。
H+が増えること、これが酸性の正体です。教科書ではこれを、強酸と弱塩基の塩だから酸性と一言で片付けますが、実際には、鉄イオンが水分子をいじめてH+を追い出した結果です。
では、なんで強酸性じゃなくて弱酸性なのか。
もし鉄イオンが凶暴で、周りの水分子すべてからH+を引き剥がしたら、それは強酸になるでしょう。でも、そこまで凶暴ではありません。
鉄イオンはH+を追い出す力を持ってはいますが、たまに起こる程度のことです。ほとんどの鉄イオンは、ただ水分子を大人しく周りにまとっているだけで満足しています。あるいは、一度追い出したH+がまた戻ってきて、元の状態に戻ったりもします。
つまり、水の中に無数にある鉄イオンのうち、ごく一部の鉄イオンだけがH+を放出している。だから、水の中のH+の濃度はそこまで高くなりません。
だから、弱い酸性なんです。