キリスト教の暦で「日没から次の日没まで」を一日と数えるため、クリスマス・イブとクリスマス当日は本来同じ一日の前半と後半にあたります。どちらが「重要」という序列があるわけではなく、どちらも同じ「主の降誕日」を構成する時間帯です。
それでも多くの地域でイブの方が華やかに祝われるのには、いくつかの歴史的・文化的な理由があります。
まず、キリスト教の典礼では「大きな祝日は前夜から始まる」という伝統が古くからあります。復活祭前夜の「イースター・ヴィジル」が象徴的ですが、重要な祭日は前夜に祈りと準備を行い、夜のうちに祝祭が始まるという構造が受け継がれています。クリスマスも同じで、降誕祭は24日の日没から始まり、夜のミサが中心的な位置を占めます。つまり、イブが盛り上がるのは「前夜だから特別扱いされている」というより、「祝祭そのものが夜から始まる」ためです。
さらに、クリスマスは「闇の中に光が来る」という象徴性を強く持つため、夜の礼拝が特に重視されてきました。暗闇の中でろうそくを灯し、救い主の誕生を待ち望むという体験が、信仰的にも文化的にも深い意味を持ちます。そのため、夜の時間帯に自然と人が集まり、祝う雰囲気が生まれやすくなりました。
加えて、近代以降の社会では25日当日が家族で静かに過ごす日とされる地域が多く、前夜の24日に友人や地域社会で賑やかに祝う習慣が広まりました。これは宗教的理由というより、生活リズムや社会文化の影響が大きい部分です。
つまり、イブが特別に盛大なのは「イブの方が重要だから」ではなく、典礼上の構造、象徴性、そして社会文化の積み重ねが重なった結果です。クリスマス・イブとクリスマス当日は本来ひとつの祝祭の連続した時間であり、どちらも同じ意味を持つ一日の中に位置づけられています。