無礼千万! 今日の友好、明日は制裁
WiLL2026年2月号 元産経新聞社会部記者 三枝玄太郎
■岡田克也と中国
今回の中国問題の発端は立憲民主党の岡田克也元幹事長が国会で高市首相に対し、
「存立危機事態」
に関する考えを執拗に問い質したことにあります。
高市首相はこれに対し、
「有事には色々な形がある」
「例えば、台湾を完全に中国・北京政府の支配下に置くような事態を想定した場合、どのような手段が使われるか」
(中略)
「戦艦を用いた武力行使を伴うのであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだと私は考える」
と述べ、台湾有事の際には自衛隊が出動する可能性を示唆した。
ここで重要なのは高市早苗が
「度を超えた発言」
をしたわけではないという点です。
岡田克也氏が具体的なケースを繰り返し尋ねたため、それに応じて具体例を述べたに過ぎない。
高市首相の回答内容そのものにも誤りはなく、国際安全保障の一般的な議論として十分に妥当です。
にもかかわらず、岡田克也氏は自分で具体例を求めながら、高市首相が具体例を挙げると
「撤回しろ」
と迫った。
これは筋が通りません。
もし、高市首相が発言を撤回すれば、
「台湾有事は日本の存立危機事態にならない」
と解釈でき、今後、日本は台湾問題について発言しづらくなり、事実上、中国の台湾侵攻を認めてしまうことになりかねない。
岡田克也氏の言動は中国に有利に働く可能性が高く、その背景には中国との密接な関係があるのではないかと疑われています。
例えば、岡田克也氏は2024年8月27~30日、議員団を率いて北京を訪問し、中国共産党の中央政治局委員であり、中央統一戦線工作部長でもある石泰峰(せきたいほう)氏と会談しました(中国『新華社通信』が報道)。
https://jp.news.cn/20240830/bfa4f93aa3914e3189bba3fa1e02aab8/c.html
「統一戦線工作部」
とは中国共産党の対外政治工作機関であり、海外華僑や台湾、宗教・少数民族政策を担当する表向きの役割とは別に、実際には世界各地で影響力工作・情報操作・プロパガンダを行う組織として知られています。
いわば中国版の情報工作部隊とも言える組織であり、そのトップと日本の野党議員団が会談すること自体が、国家安全保障の問題を孕んでいます。
にもかかわらず、岡田克也氏は石泰峰氏との会談について
「国益に適う」
と述べた。
しかし、オールドメディアはこの問題をほとんど報じません。
むしろ、岡田克也氏と中国の親密さが招くリスクについてこそ深く掘り下げるべきです。
■小泉防衛相のファインプレー
防衛省の発表によれば、2025年12月6日午後4時32分~35分頃にかけて、更に同日午後6時37分~7時8分の間、合計30分間に渡り航空自衛隊のF-15戦闘機が断続的なレーダー照射を受けました。
レーダー照射には
「捜索用」
と
「火器管制用」
がありますが、後者であれば、実際の攻撃の直前行為とも言われる極めて危険な挑発です。
中国は通常、この手の問題では
「知らぬ存ぜぬ」
のダンマリを決め込むのが常ですが、今回は小泉進次郎防衛相が迅速に公表したため、否定できず認めざるを得ませんでした。
2025年7月8日、紅海で中国艦船から照射を受けたドイツや、2021年2月20日、同じく照射を受けたオーストラリアに対しては、中国は一貫して否定していますから、今回の小泉防衛相の対応はまさにファインプレーと言えるでしょう。
更に最近の中国は以前のサラミ戦術どころか、
「厚切りハム」
のように一気に既成事実を積み上げてくる危険な局面に入っています。
国際情勢は第3次世界大戦の瀬戸際と言っても大袈裟ではない。
現在、中国は英・仏・独に対して積極的な外交攻勢をかけているにもかかわらず、日本では高市首相や茂木敏充外相が国会対応に追われ、十分に動けない状況です。
野党が建設的な議論をしてくれるならまだしも、
「GDP3.5%の防衛費増額をアメリカに強要されたのか」
などと執拗に問い質すばかり。
これでは何をしているのか・・・と首を傾げるしかありません。
今必要なのは、時間を浪費せず、日本が主体的に動くことです。
■日本政府の立場
1972年、日本と中国が国交を樹立する際に調印された
「日中共同声明」
には次のように記されています。
「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」
ここでいうポツダム宣言第八項とは
「カイロ宣言の条項を履行し、台湾および澎湖諸島を中華民国に返還する」
という趣旨と解されています。
つまり、日本は台湾を中華民国に返還する立場を取っている、という意味です。
この
「中華民国」
をそのまま引き継いだのが現在の中華人民共和国だと中国側は主張しており、それに従えば
「中国(中華人民共和国)が台湾を領有する権利がある」
と解釈できる余地は一応存在します。
しかし、大平正芳外務大臣(当時)が示した政府統一見解では、これは平和的解決を前提とした文言であり、武力による統合を容認するものではないと明確に説明しています。
現実として、中華人民共和国は1949年の建国以来、1度たりとも台湾を統治したことがありません。
台湾を実際に統治してきたのは、中華民国の蒋介石政権を引き継いだ台湾の政府(中国国民党政権)です。
従って、日中共同声明は
「中国の主張を理解し尊重する」
と述べているだけであり、武力による統一までは容認していない。
故に、台湾有事を日本の
「存立危機事態」
たり得るとする判断は、安倍政権時代から一貫した日本政府の立場です。
■もの言う国家としての日本
ところが岡田克也氏は、この高市首相の立場を揺るがせようとした。
中国が台湾に侵攻した場合、日本は
「台湾有事は存立危機事態ではないから、集団的自衛権は行使しない」
という立場が正しいと立憲民主党は思っているのか。
歴史を振り返れば、危機を初期段階で見逃した国がどのような結末を迎えるかは明らかです。
ナチス・ドイツが軍備を禁じられたラインライトに進駐した際、イギリスなどが有効な措置を取らなかった結果、ヒトラーの暴走を許し、最終的にはイギリス本土への空爆にまで至りました。
台湾への武力侵攻を黙認することは、当時のラインライト進駐を見過ごしたことと本質的に変わりません。
高市首相の発言に国際社会が一定の理解を示したことで、中国は強い危機感を抱いた。
実際、中国は慌ててトランプ大統領に電話を掛け、
「第二次大戦で米中は共に戦ったではないか」
と訴え、国連憲章の
「旧敵国条項」(事実上、現在は死文化)
まで持ち出してアメリカに再確認を求めるという異常な行動に出ました。
これは、日本が
「もの言う国家」
として台頭し、中国の軍事行動を抑止し得る存在となり得ることを中国側が恐れている証左でもあります。
アメリカと台湾だけなら、中国は電撃戦で早期に台湾を制圧できると踏んでいるかもしれません。
しかし、そこに自衛隊が加わるとなれば、兵力の量と展開速度の面で戦況は大きく変わる可能性があります。
だからこそ、中国は
「日本だけは台湾問題に関与させたくない」
という強烈な政治的動機を持つのです。
その中国の思惑に立憲民主党、れいわ新選組、日本共産党が結果として与してしまい、高市批判を展開している。
この構図こそ、国益を損なう最大の問題です。
首相答弁「二度といわないぐらいいわないと」 台湾有事質問した立民・岡田克也氏
2025/12/21 10:38
https://www.sankei.com/article/20251221-J2PFBBIVMVGFDLGW2PHRTP5EIA/
立憲民主党の岡田克也元外相は21日のNHK番組で、台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁について、従来の政府見解と異なると改めて主張し、
「『二度と言わない』というぐらいのことを言わないと国民は納得できない」
と述べ、更なる対応を求めた。
首相は11月7日、衆院予算委員会で岡田氏の質問に対し、台湾有事で中国が戦艦を使い、武力の行使も伴うものであれば、集団的自衛権行使が可能となる安全保障関連法の
「存立危機事態」
になり得ると答弁した。
岡田氏はこの日の番組で
「正確には『存立危機事態になり得る可能性が高い』と言っている」
と指摘。
「明らかに方向性を出した議論で、従来の政府の立場と異なる」
と言及した。
■自民「従来の政府見解超えていない」
これに対し、自民党の小野寺五典安全保障調査会長は
「従来の日本政府の見解を超えているとは思っていない」
と反論した。
小野寺氏は存立危機事態を説明した首相の答弁について、
「例えばある所で紛争が起き、来援した米軍が大きな損害を受けた時、日本はどうするか」
「同盟国なので大変なことになる」
「だから日本として一定の支援をしなければならないのでないか、ということを話している」
と説明。
「その可能性は状況で変わるのは当然でないか」
と語った。
中国軍拡、圧倒的早さ 迫る「2027台湾有事」日本の備えは
戦間期の終焉 第5部・「日本」を守れるか(上)
2025/12/21 7:00
https://www.sankei.com/article/20251221-RDVOPQXVQ5LYJOVV6XFIB6Z2PM/