塩化アンモニウム(NH4Cl)の結晶を加えた際、アンモニア(NH3)の電離平衡において「電離したy mol を0 molとみなす」という処理は、計算を簡略化するための近似手法です。
ご質問の「左に平衡が移動している分を考慮しない(yを無視する)のはなぜか」という点について、理由は主に以下の3点です。
1. 共通イオン効果で「電離するy」が微量になるから
この平衡系にNH4Clを加えると、
が大量に供給され、ルシャトリエの原理により平衡が左側に移動します。
もともと弱塩基であるアンモニアはわずかしか電離しないため、左に平衡が移動することで、新たな電離量yは、もともと存在していたNH3の濃度に比べて無視できるほど小さくなります(y=0 とおいても全量の濃度にほぼ影響しない)。