量子の不思議な現象が日常で起きる世界は、
私たちの「常識」が根底から覆る社会になります。
まず「重ね合わせ」により、
一つの物体が同時に複数の場所に存在したり、
複数の状態を併せ持ったりします。
例えば「朝食にパンと白米を同時に食べる」
「会社に出勤しながら自宅で寝ている」
といった矛盾が成立し、
観測(確認)するまで結果が確定しません。
また「量子もつれ」が起きると、
遠く離れたペアの片方に起きた変化が、
もう一方へ瞬時に伝わります。
地球で投げたコインが表なら、
火星にあるペアのコインも即座に表になるような、
距離を無視した究極の同期が起こります。
このように、物事が「確率」で決まり、
時間や空間の制約が消滅する、極めて不確実でカオスな、
しかし可能性に満ちた世界になるでしょう。
ミクロな世界の現象がマクロな世界で現れない主な理由は、
「デコヒーレンス(量子デコヒーレンス)」という現象にあります。
量子力学特有の「重ね合わせ」などの状態は非常に壊れやすく、
周囲の空気分子、光、熱といった環境との相互作用によって、
瞬時にその性質が失われてしまいます。
ミクロな粒子は孤独でいられますが、
巨大なマクロの物体は常に無数の周囲の物質と衝突し、
「観測」され続けているような状態にあるため、
量子的な性質が維持できません。
また、物体が大きくなるほど、
物体の波としての性質を示す
「ドブロイ波長」が極めて短くなります。
λ=h/mv
この式において、質量m が大きいマクロの物体では
波長 λ が無視できるほど小さくなり、
確率的な振る舞いよりも、
ニュートン力学のような決定論的な動きが支配的になります。
補足:
次元は関係ありますが、
私達が異なる次元で生きるという事はいません。
マクロの世界が量子力学のルールに配されていたら
生命の誕生や維持は極めて困難、
あるいは不可能と言えるかもしれません。
実は「ミクロの量子効果」が生命を支えています。
皮肉なことに、
「マクロでは量子現象が起きない」
からこそ生命は安定していますが、
「ミクロで量子現象が起きている」
からこそ生命は誕生できました。
光合成:
植物が光をエネルギーに変える際、
量子的な「重ね合わせ」を利用して最短ルートで
エネルギーを伝達しているという研究があります。
酵素:
体内の化学反応を助ける酵素も、
量子トンネル効果というミクロの現象を利用しています。
つまり、「基盤(ミクロ)は量子力学だが、
アウトプット(マクロ)は古典物理学」という
現在の絶妙なバランスこそが、
生命にとっての最適解となっています。