世間を騒がせているインフルエンサー社長の脱税事件ですね。
この規模(脱税額1.6億円、所得隠し約5億円)の事案は、国税局査察部(通称:マルサ)が威信をかけて動く「悪質な脱税」の典型例です。
ご質問いただいた刑罰と追徴課税について、過去の類似事例に基づき解説します。
1. 刑罰について:実刑か、執行猶予か?
結論から言うと、「執行猶予付きの有罪判決」になる可能性が極めて高いですが、条件次第では実刑の可能性もゼロではありません。
・判決の傾向
脱税額が1億円を超える場合、検察は懲役刑を求刑します。しかし、「修正申告を行い、脱税した本税(1.6億円)を全額一括で納付しているか」が最大の分かれ目です。
・実刑の可能性
証拠隠滅を徹底していた、あるいは過去にも同様の指摘を受けていたなど、悪質性が際立っている場合、あるいは税金を全く払えない状況であれば、実刑(刑務所行き)もあり得ます。
・予想される刑罰
①懲役: 2年〜3年(執行猶予4年〜5年)
②罰金: 3,000万円〜4,000万円前後(脱税額の20%〜30%程度が相場)
2. 追徴課税について:最終的な支払額
脱税していた「本税(1.6億円)」を払えば終わりではありません。ここからが真のペナルティです。
重加算税と延滞税
①重加算税: 架空計上という隠蔽・仮装行為があるため、40%(無申告なら35%〜)の重加算税が課せられます。
・ 1.6億円 × 40% = 約6,400万円
②延滞税: 納付期限の翌日から完納まで利息がかかります。数年分ですので、1,000万円〜2,000万円程度に膨らむ可能性があります。
■最終的な支払い総額の予想
脱税した額を返すだけでなく、罰金や加算税を合わせると、手元の現金はほぼ消滅する計算になります。
項目 | 概算金額
脱税していた本税 | 約 1億5,700万円
重加算税(ペナルティ) | 約 6,280万円
延滞税(利息) | 約 1,500万円
刑事罰としての罰金 | 約 4,000万円
合計 | 約 2億7,480万円
[注意]
消費税の脱税はさらに厳しい
今回、法人税だけでなく消費税も脱税している点がポイントです。消費税は「消費者から預かったお金」という性質上、税務当局は所得税よりも厳しく取り締まる傾向にあります。
■まとめ
K社長の場合、所得を約5億円も圧縮(隠蔽)していたことから、「悪質」と判断され罰金額が跳ね上がる可能性があります。社会的信用を失うだけでなく、「稼いだ額以上の支出」を強いられる、まさに破滅的な結末と言えるでしょう。SNS上の華やかな生活の裏でこのような巨額脱税が行われていたことは、今後のインフルエンサーへの税務調査をさらに厳しくするきっかけになりそうです。