1 が言えない(非常に不自然)のは
→ 否定の焦点が曖昧で、ドイツ語の語順規則にも合わないから
2 が言えるのは
→ 否定の対象(Äpfel)が明確に前面化されているから
です。
まず 1 を見ます。
1 Wir haben nicht Äpfel gekauft.
この文では
nicht が Äpfel の直前にあります。
するとドイツ語では自動的に
「Äpfel を否定する」
=「りんごではない何か」
という 対比否定 になります。
つまり意味は
「私たちは りんごではなく(別のもの)を買った」
になります。
しかし問題はここです。
この意味を表すなら、ドイツ語では通常
・sondern が必要
・あるいは語順をはっきりさせる必要がある
にもかかわらず、
Wir haben nicht Äpfel gekauft.
は
対比の相手が文中に出てこないため、
聞き手は
「え?じゃあ何を?」
と感じてしまいます。
そのため、文法的には成り立つ余地があっても、
単独文としてはほぼ使われません。
次に 2。
2 Äpfel haben wir nicht gekauft.
これは構造がまったく違います。
Äpfel が文頭に出ているのは
前面化(Topik化) です。
この形になると、
・「Äpfel について言えば」
・「りんごに関しては」
という話題設定が先に行われ、
そのうえで
haben wir nicht gekauft
(買わなかった)
と 明確に否定 されます。
つまり意味ははっきり
「りんごは買わなかった(他は知らない/他は買ったかもしれない)」
になります。
否定の焦点が完全に明示されているため、
非常に自然なドイツ語です。
ここが核心です。
ドイツ語では
・否定語 nicht は
否定する要素がはっきりしていないと不安定になる
・名詞だけを否定したい場合は
前面化するか、対比を明示する
という強い傾向があります。
まとめると、
1 が言えない理由
→ nicht が Äpfel を否定しているが、
対比相手も話題設定もなく、焦点が宙に浮くから
2 が言える理由
→ Äpfel を話題として前面化し、
「それについては否定する」と明確にしているから
一言で言えば、
ドイツ語は「何を否定するのか」を語順で示す言語
です。
だから、
・数量否定 → keine Äpfel
・対比否定 → Äpfel haben wir nicht gekauft
となり、
nicht Äpfel を平叙文の中に置くのは、
最も不安定で避けられる形なのです。