一見すると市場が縮小する日本での大規模開発は無謀に見えますが、ビジネス視点では「縮小社会だからこそ、勝てる施設への更新が必要」という明確な理由があります。大きく2つの視点でお答えします。
1. インバウンド需要(外貨)の受け皿
人口減少による内需の減少を補って余りあるのが、訪日外国人によるインバウンド消費です。円安を追い風に、彼らの購買力は非常に強力です。
しかし、富裕層が好むラグジュアリーブランドや、快適な免税手続き、日本食からエンタメまでを一カ所で楽しめる環境は、古い商業ビルや既存の商店街では対応しきれません。世界基準の最新設備を備えた商業施設を作ることは、日本の人口減少とは無関係に拡大する「外貨獲得のチャンス」を逃さないために必須の投資と言えます。
2. 国内需要の「総取り」と選別
国内に目を向けると、消費者は物価高だからこそ「失敗したくない」と考え、行く場所を厳選しています。単に物を売るだけの古い店舗は淘汰され、代わりに「一日中過ごせる」「特別な体験ができる(コト消費)」最新施設へと客足が集中しています。
新しい商業施設は、周辺の古いスーパーや商店街に分散していた客を、映画館やイベント、快適な空間で一気に引き寄せます。つまり、市場全体のパイが小さくなる局面だからこそ、圧倒的な魅力で地域に残った消費力を「総取り」し、地域一番店として生き残るために新しい施設が必要とされるのです。
結論として、新しい商業施設は単なる売り場ではなく、外需を取り込み、変化した国内ニーズを独占するための「生存戦略」として建設されていると言えるでしょう。