ATFは動力伝達、冷却、潤滑、清掃などを担当する作動油です。
エンジンオイルのように直接燃焼室の裏で燃えカスを拾ったり燃焼の熱に晒されるわけではありませんが、それでも走行中はかなりの高熱と負荷がかかっています。
なので、距離が進めばATFは劣化し、各部は磨耗し、スラッジはフルード内を浮遊し流路内の淀み部分やオイルパンに沈殿します。
その状態で、ただ抜いて入れるだけの循環交換を行うと、各部に溜まったスラッジは抜けずに残り、流動性の高い新油が入ってきてスラッジを押し流し、ストレーナー(フィルター)やマグネットで除去し切れないスラッジはATの非常に細かい作動部分に流れ込み、そこで詰まります。
詰まったらジ・エンド、ミッションがお亡くなりになります。
ので、未交換のまま過走行してしまった場合に迂闊にATFを抜いて新油を入れると壊れるというのは本当です。
ただし、説明した通り壊れる原因は主に流路内に残った抜ききれない廃油やスラッジです。
これを圧送交換できっちり取りきり、オイルパンやマグネットの脱着清掃、ストレーナーの新品交換を同時にやれば、手遅れの場合を除いて壊れません。
手遅れだった場合は何をしても、何もしなくても壊れますので、過走行でATF交換したいならきちんと手順を踏んでやる必要が出る、と言うだけです。
基本的に普通の人は、ATFの交換どころかAT内にフルードが存在することすら知らない人が多数です。
調子が悪くなったら直すよりも乗り換える方を選択する人が多い中、未交換で過走行まで行ってしまった車のATFを安くない料金を払いリスクを覚悟して交換して、その費用に見合う働きを今後期待するかどうかです。
前述の通り手遅れの場合もあります。その時はその車を乗り続けるならAT交換しか道はありません。
大金支払ってAT交換してまで乗り続ける人はそう多くはないでしょう。そこまで杜撰なメンテ状況なら、他の部分も同様に爆弾を抱えているはずです。
それなら、多少の不調は目を瞑って余計なコストをかけずに逃げ切って乗り換えてしまう方が賢い選択肢になりうる人も多いと言うだけの話です。