犬の膀胱炎において、細菌がバイオフィルムを形成すると再発しやすくなるのは、細菌が「集団として防御された状態」に移行するためです。
バイオフィルムでは細菌は多糖などからなる基質に包まれ、膀胱粘膜に強固に付着します。
この構造が物理的バリアとなり、抗菌薬が内部まで十分に到達しにくくなるうえ、免疫細胞からの攻撃も受けにくくなります。
内部の細菌は代謝が低下した休眠に近い状態をとることが多く、増殖中の細菌を標的とする抗菌薬に対して感受性が低下します。
結果として、治療によって一時的に症状が改善しても、バイオフィルム内に生き残った細菌が再び増殖し、感染が再燃します。
一部の細菌がバイオフィルムから離脱して新たな感染巣を作ることも、再発を繰り返す要因になります。
バイオフィルムは「薬剤耐性の見かけ上の増強」「免疫回避」「持続感染の温床」という複数の要素を同時に成立させるため、浮遊状態の細菌よりも慢性化・再発しやすい病態につながります。