はい、その違和感は正しくて、実際の臨床プロセスはもう少し段階的です。
犬のインスリノーマでは、いきなり「低血糖だからインスリンを測る」という順序ではなく、まずは臨床症状から低血糖を疑うところから始まります。
典型的には虚脱、ふらつき、けいれん、食後に改善する神経症状などがあり、これらから低血糖が疑われた段階で血糖測定を行います。そのうえで実際に血糖が低いことが確認されて初めて、「その低血糖が適切に抑制されているか」を評価するためにインスリン濃度を測定します。
重要なのは本来インスリンは低血糖時には低下しているはずだという生理学です。
低血糖にもかかわらずインスリンが「正常〜高値」を示す場合、それは生理的な抑制が働いていない異常であり、インスリノーマを強く疑う根拠になります。
診断の本質は「インスリンが高いこと」ではなく、「低血糖に対してインスリンが抑制されていないこと」です。
臨床的な順序を整理すると、まず症状から低血糖を疑い、次に血糖を測定し、低血糖が確認された時点で原因検索に進みます。
その中でインスリンが不適切に高いかどうかを評価し、インスリノーマの可能性を判断します。
設問のような「血糖低下→インスリン測定」という直線的な流れは大幅に簡略化されたものであり、実際には症状評価→血糖確認→ホルモン評価という段階を踏むのが正確な診断プロセスです。