おっしゃる疑問は今の貨幣価値だからこそそう考えるんだと思うよ。
1円玉の発行が始まったのは、昭和30年のことで今から70年くらい前のこと。
高度経済成長の前だから、当時の貨幣価値は今の10倍じゃきかない。
それに当時の貨幣素材のアルミの原価が額面を超えているはずもない。
だから当時として、アルミ円盤に1円の刻印だけというのはちょっと考えられない
と思うけどね。
おっしゃる論点は、今のままの1円玉で意味があるか、ということにもつながる
と思うが、それは大いに検討する価値はあると思う。
まず製造価格が額面を超えるという問題は、1円玉の流通が大いに重要性がある
のなら、多少製造コストが上回ってでも(金属の素材価値が上回って鋳潰して
売却されるリスクがない限り)製造する意味はあると思う。
もう一つは、キャッシュレス決済の広がりで買い物で小銭ジャラジャラの
買い物の頻度が減り、小銭の出番が減ってきている現状1円玉が本当に
貨幣として必要か、という観点もあるね。
実はここ10年近く「一般流通用」の1円玉というのは1枚も製造されていない。
毎年製造されているのは、国内外のコレクター向けにる流通用貨幣一式を
セットにして販売しているが、そこに封入するために数十万枚が製造されている
だけ。1円玉は社会的役割を終えつつあるのかもしれない。
ただ今でもコストだけならアルミより安い金属ってあるはずだよ(後述)。
ちなみにアメリカでは、今年1セント銅貨の製造を終了した。
余談だけど貨幣の金属は国内で流通している限りは国内に「貯蔵されている」
に等しい状態なので、戦時中は貨幣が金属の備蓄として備える側面があった。
昭和15年頃からは10銭、5銭、1銭はいずれもアルミ貨で、1銭あたりは
少しずつ重さを減らしていきながら昭和19年頃には錫貨に代わった。
アルミは精錬に電力をたくさん食う金属で安い金属じゃない。
アルミは航空機の素材であるジュラルミンに使われていったから。
ちなみに錫も貨幣に使えないようになった場合として、粘土を焼いた
焼き物の「陶貨」が計画され、実際に試作されてもいる。実際に世間に
出る前に終戦を迎えたけどね。
まあ今の1円玉にアルミの備蓄という意味はないはずだが。
もう一つ余談だけど、今金ブームで高値で取引されている昭和61年発行の
昭和天皇在位60年記念10万円金貨。記念金貨といっても1000万以上の
大量発行なんだが、これ製造時の金価格が額面の約4割、4万円前後だったと
言われている。
そのため、外国で同じ純金、同じ重さのこの記念金貨の精巧な偽造品が大量に
日本に持ち込まれた。その数10万枚以上。被害額100億円以上。
特に高額貨幣の場合、あまりコストが安すぎると余計に偽造の対象にされる
好例。偽造だと判明したものは全て鋳潰されて偽造貨幣を購入した貨幣
ディーラーに返却されたそうだが。
ところが昨今の金の爆騰でこの記念金貨の金の時価は50万円近いとか。
自分には非常に皮肉を感じる。